「 あわびエルフ 」
エルフと言うは、案外なさけない種族で、たまねぎを食べると弱って死んでしまう、とかイカやタコを食うと腰がぬけるとか、いろいろ弱点があるのだそうだ。
そういうののひとつに、エルフにあわびを食わせると耳が腐って落ちてしまうので食わせてはいけない、という教えがある。
『そんなことわざわざ、言われなくてもエルフなんかに高いアワビを食わすかい』
と、思いでしょうが、それにしても【死んじゃう】とかでなしに、どうして【耳が落ちる】のか?
これはですね、アワビのキモに原因があるのです。
つまり、アワビのキモの中にはアワビが食った海草なんかの葉緑素がコンクされているので、それをエルフが食うと妖精種族であるエルフの胃や腸には葉緑素を分解する酵素がないため葉緑素は消化されずに吸収されて血管の中に入るわけですが、エルフの耳って非常に薄くて、血管なんかも透けて見えるでしょう?
そこをこの、葉緑素が通るときに日光の照射をうけて光合成をして繁殖をはじめる、その結果さなきだに細い耳の血管は、たちどころにつまってしまって細胞に酸素を送れなくなり耳の細胞は壊死してしまい、腐ってポロリと落ちるわけです。
だから耳が落ちて坊主になったエルフをアワビエルフという。
学生のころの知人で築地でバイトしてて、ある日倉庫の扉を開けたら、このアワビエルフの群れがドッと飛び出してきて仰天したといいます。
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