幻想異生物物語

                           【 ジャイアントスパイダー 】


                 少女冒険家の旅立ちとその末路


                                【 旅立ち 】


 彼女……フィルモ・アズナルが冒険の日々へと旅立ったのは、12歳の誕生日の事であった。
 冒険者となり世界中を自分の眼と足で見て歩く!それは彼女が子供の頃(今の彼女も子供と言えるのだが)から心に誓っていた夢であり、彼女がこの歳になるまでの人生の目標でもある。
 無論、彼女は夢見るだけではなく、この日のために僧侶としての修行を積み、冒険者としての知識も蓄え彼女なりの努力もしてきた。
 そして今日が、彼女の冒険者としての第一歩であり、冒険者としての始まりの日であった。
「フィルモや、無理をしてはだめだよ、危険な事は出来るだけ避けるんだよ……いいわね?」
 ただ一人の身内である祖母が、フィルモの身体を抱きしめながら言い聞かせるようにしゃべる。早くに亡くした息子夫婦の、ただひとつの忘れ形見である孫娘のフィルモ、出来る事ならば、冒険者などと言う危険な事はさせたくはない、だが小さな頃から冒険者を夢見行動して来たフィルモの姿を人一倍知る祖母には、その行動を止める事は出来なかった。
 ただ一つ出来る事は、こうして抱きしめてやる事であり、フィルモの旅の無事を祈ってやることだけであった。
「大丈夫! お婆ちゃん、私はいろんな場所を見て歩きたいの! そして知りたいの、この世界がどんなに素晴らしいかを、絶対に帰ってきて、それをお婆ちゃんに話してあげる」
 祖母に抱きしめられた以上の力で、祖母の身体を抱きしめ返す……必ず、またこの場所に帰ってくると誓って……
 家族や親しい人達に別れを告げ、背中には大きな荷物、小さな胸にはそれ以上のこれから始まるであろう冒険に対する希望と夢を抱えて彼女、フィルモ・アズナルは生まれ育った村を旅立った!
 しかし彼女は知らない……今日と言う日が、冒険の始まりの日々であると同時に、冒険の最後の日になると言う可能性がありえると言うことを……

 歩いて約三日の街、それが彼女の生まれ育った村から一番近い冒険者ギルドのある街であった。
 彼女は歩く、逸る気持ちが歩みを早くさせて日暮れの道もかまわずに歩き続ける。それがどんなに危険な事であるか、冒険者としての経験が決定的に不足している彼女には、知識としては知りえていた事ではあるが、実際の経験としては知り得ていなかった。故郷の村からギルドのある街までは、今までに何度も行き来した経験もあり、それが彼女の判断を誤らせ、結果として残酷な運命を決めたのである。

 夜の森の中、彼女は歩いていく、これから始まる冒険の日々を夢見、そして出会うであろう様々な人達との事を考え、彼女は前だけを見て歩く……だから背後の忍び寄る影があることに気がつかなかった。
 ガサリ!……背後からの物音で初めて彼女は気がつく、背後に何かが迫ってくる事に、慌てて振り向いた彼女の視界に映る物体、それを巨大な黒い影としか彼女は認識できなかった。
「きゃっ!」
 黒い影は、覆いかぶさるように彼女の上に伸し掛かり、素早く脊髄に牙を撃ち立てる!
 それで御終いであった。まだ意識はあるが、身体の自由を奪われた彼女が黒い影にズルズルと引きづられて暗い森の中に消えていく……あとには、彼女か被っていた大きな帽子だけが残されているだけであった。

 黒い影……その正体は、ジャイアントスパイダーと呼ばれる巨大な蜘蛛であった。
 冒険者として勉強をしていた彼女は不幸にも知っていた、ジャイアントスパイダーのおぞましい習性を、ジャイアントスパイダー……それは、森・洞窟・地下迷宮の闇に潜み棲む、ある意味ありふれたモンスターの一種である。人のほぼ2倍程度の大きさと巨大な蜘蛛を思わせる外観、習性も蜘蛛に似ており、獲物となるもの達を待ち伏せ、毒牙や糸により捕獲して餌としている。
 そして捕獲され、餌となるのは確かに不運であるが、真に恐怖なのは産卵期のジャイアントスパイダーの雌に捕まった時である。
 そう産卵するのである。捕獲した獲物の子宮に自分の卵を埋めこみ、やがて子宮内で孵化したジャイアントスパイダーの幼生胎は、哀れな犠牲者の子宮に己が成長する巣を作り上げ、血液を含む体液や卵巣を糧として成長し(しかも、獲物が死んで腐敗を起こさないように、いつまでも新鮮な生餌として利用するために致命傷になる部位を巧妙に避けながら、体内を喰い荒していくのである)ある程度まで成長した幼生胎は、やがて膣口より這い出てくるのであるが、その時まで犠牲者は生きている。
 そして這い出てきた幼生胎が、最初の獲物として喰らい尽くされ、ようやくに死を迎える事が出来るのである。


                                 【 産卵 】


 森の中でフィルモを捕獲したジャイアントスパイダーが住処の洞穴へと、意外なほどの身のこなしでひた走る。そのジャイアントスパイダーは雌であった……しかも腹に成熟した卵を抱え込んだ、産卵間近の個体である。
 棲家の洞窟の中にフィルモを連れ込んだジャイアントスパイダーが最初にした事は、フィルもが身に着けている衣服を引き剥がす事であった。
 獲物が他の種類の生物なら体毛を掻き分けた上で雌雄を確認すれば事足りるが、人間の場合では、一手間かかる事になる、まずは身に着けている衣服を引き剥がした上で、捕獲した人間の雌雄を確認しなければいけない、はたして子宮に卵を産み付ける事が可能かどうか?また、産み付けたとしても孵化した子供達の食料と充分に生り得るかを確認するためにであり、身に着けている衣服を丹念に引き剥がし全裸にし、その肉体を丹念に調べ上げる、それが長年の末に獲得したジャイアントスパイダーの習性であった。
 8本の蝕椀と一対の牙が、麻痺状態で身動きの出来ない……しかし意識だけはハッキリとしているフィルモの衣服を引裂き脱がしていく
『やだ!』
 生命の危機と言うよりも、衣服を引裂かれ脱がされていく事に対しての羞恥心が強い、ビリビリと言う服を引き剥がされて行く感触と音、やがてフィルモの薄い膨らみを見せる白い乳房と、その上に半ば埋もれたようにある小粒な乳首が剥きだしになる。
『なんで! やだ、いやぁぁ!!』
 夢にまで見た冒険者としての旅立ち、ようやくにその入口に辿り着いたばかりだと言うのに、何でこんな事になってしまったのか、それをフィルモは理解する事が出来ない、これは夢に違いない、夢でなければ絶対に変だ!
 ジャイアントスパイダーの蝕椀が、剥きだしなったフィルモの素肌の上を嬲るように蠢き、はたして自分の大切な卵を産みつける事が出来るかどうかを執拗かつ丹念に調べ上げていく
『ひぃぅ!』
 痺れて声を出す事も出来ず、触れられる触腕のおぞましさに、心の内で悲鳴を出す。蝕腕が口腔と鼻腔の両方に挿し込まれ、咽喉の奥深くに蝕椀が侵入して行く……
「んんんっ、んぐぅぅぅぅぅ……ぎゅぼゅぅぅ……」
 麻痺した声帯からは、まともな声は出ない、…ただ蝕椀が体内に侵入していく事により押し出された空気が漏れ出し、それに震える声帯が奇妙な音を声にして、僅かな隙間から漏れ出させて行く……そして同様に剥き出しにされている下半身へも、触腕は伸ばされ穴の位置を確認しつつ、その内部へと伸ばされていった。
『あひぃぃぃ!』
股間に侵入して来る異物の感覚、身体が動かないだけで感覚が無くなっている訳ではない、自分の中へと侵入して来る異物のおぞましさ、そして男性を受け入れた事もなく、硬く閉じ合わされ泌部を、触腕によって強引に引き裂かれて行く苦痛、それにフィルモは心の中で悲鳴をあげつづける。
『いやぁ!たすけてぇ、お婆ちゃん! たすけてぇぇぇ――、いやぁぁぁ――――!! 』
 思わず助けを求めてしまう相手は、優しい祖母の声と姿……
 フィルモの秘部へと侵入した長き触腕は、その奥深くへと伸ばされて行く、はたして我が愛しき子供達の糧となるのに十分かを確認する為に、丹念にジャイアントスパイダーの触腕は、膣口を押し開き、その途中にあった処女膜を引裂き、産道を逆流しながら、子宮へと達した。
『ひぃぃ!ひぎぃぃぃ―――!!』
 侵入し、自分の身体の一番奥深い場所で蠢く異物、それに対してフィルモは声にならない悲鳴を頭の中で張り上げる。
 全裸にされ、口と膣に触腕を挿入されながら、時折ビクンッ!ビクンッ!と痙攣するように身体を動かすフィルモ、その姿はすでに冒険者ではなく、ジャイアントスパイダーの哀れな犠牲者でしかなかった。
 
 口と膣に挿入されていた触腕が引き抜かれる。
 口から引き抜かれた触腕に付着する唾液と胃液、膣から引き抜かれた触腕に付着する透明な液と破瓜の血、それらを口へと持って行き、何かを確認するように舐めるジャイアントスパイダー……何かを考えるかのように数度、引き抜いた触腕を舐めあげる行動を取った末に、満足したようにジャイアントスパイダーはフィルモの身体を触腕で抱えると固定し、その尻より産卵管を伸ばし始める……
 8本の触腕、そのうち4本の触腕で抱えあげたフィルモ、両足を大きく押し広げながら、その無防備に曝け出された股間……膣口にへと、ジャイアントスパイダーの産卵管が伸ばされて行くの見て取る。
『ひぃやっ! やめてぇ、やめてぇぇーー!!』
 これから自分の身に何が行われ様としているのか、身動き一つ出来ない状態でありながら、その意識が鮮明であるゆえにフィルモは理解する。
『いやだぁ! そんな物を私の身体に産まないでぇぇ――!!』
 自分の身体に産み付けられるジャイアントスパイダーの幼生胎、産み付けられた幼生胎が、自分の血肉を喰らいながら子宮の中で成長していくと言う事実、そして最後には子宮から這い出てきた幼生胎によって、自分が完全に喰われてしまうと言う結末……
 如何に心の中で悲鳴をあげ、泣き叫んだ所で麻痺した身体はピクリとしか動かず、膣へと挿入されていく産卵管を無抵抗に受け入れる他に術はなかった。
『ひぎぃぃ!!』
 膣口に宛がわれた産卵管が、その内部へと侵入して行く……ゾリゾリと収縮しながら侵入して行く産卵官の感触、無限に体内へと挿入されて行くかのようなおぞましさ、その異物感が肉体を通してはっきり解かる……そして……
『あうっ! ううぁぁ―――!!』
 挿入され、体内の奥深くへと刺し込まれた産卵管から、子宮へと産みつけられて行くジャイアントスパイダーの幼生胎の蠢き……ひとつ……ふたつ……みっつ……よっつ……いつつ……次々に産み付けられて行く幼生胎、そしてそれらの幼生胎は、産み付けられるとともにフィルモの子宮に小さな牙を突き立て、血肉を啜り始めた。
『ぎぃひぁぁ――――!! 』
 死に至るほどの激しい痛みではない、しかし生きながら身体の内部より血肉を啜られ、喰われて行く恐怖と絶望、叫ぶ事や暴れる事すら出来ずにフィルモは心の中で叫び悲鳴をあげるだけであった。


                              【 願い 】


 小さなテーブルの上には、孫娘が好きであった料理が幾つかならべられている。
 冒険者として旅立っていった孫娘、その無事を願いながら年老いた祖母は、孫娘が好きであった料理を、孫娘がいた時と同じようにテーブルの上にならべる。旅先で孫娘が食べ物に困らないようにと、そして孫娘が何時帰って来ても良いようにと……
 年老いた祖母は知らない……この場所から歩いて一日とかからない小さな洞窟、その洞窟の奥に冒険者として旅立った筈の孫娘が、ジャイアントスパイダーの産卵母体として捕獲され、子宮を内部から喰い散らかされた末に、成長し子宮から這い出て来たジャイアントスパイダーの幼生胎達に、その身を貪り食われようとしている事など……

 子宮から這い出て来たジャイアントスパイダーの幼生胎が、自分達に与えられた食料を最後まで貪る為に、散々に身体の内部を食い散らかされ瀕死となっているフィルモの身体に群がる。
 自分の身体を貪るジャイアントスパイダーであったが、何日も続いた苦痛に対して、ようやくに終わりが訪れた事に安堵し、フィルモは小さな声で……ようやくに出すことが出来た最後の言葉を漏れ出させる。
「お婆ちゃん……ごめんね……絶対帰るって行ったのに……」
 迫り来るジャイアントスパイダー達の顎を、ようやくに死ぬ事が出来る安堵に身を浸らせたフィルモが、消え行く意識の下で最後に漏らした言葉であった。



                                        おわり……?


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