『  安らぎの中で… 』         



夜の寂しさをザインは、日課の読書で紛らわす。
ランプの灯りと差し込んでくる月光で室内は意外なほどに明るいが、心の中ぽっかりと空いた虚ろは埋まる事は無い…
「…らい…が…」
本来なら発音不可能な言葉をザインは口にする、そして思い出す…あの時にライカを抱きしめて連れ帰ったなら、この寂しさは埋っていただろうかと、しかしすぐにそれを否定する、何故ならあの時の行動は、間違いの無い選択であったと知っているからである。
あの時、ライカを家に連れ帰って如何すると言うのか?
どうしようもない、所詮自分は呪われた存在であるのだから…
ザインは、この一年…ライカを人の世界に戻してから、毎夜のように同じ事を考え、あの行動が間違っていなかったという事を自分に納得させるのが、新たな日課となっていた。
ザインは、再び本に目を落とす。
コンコン
風の音か、ドアがノックされたような気がする、この家を訪ねて来る者など誰もいない、気のせいだろうと思い、無視をするが…
コンコン
ドアが再びノックされる、ザインは立ち上がるとドアへと向かい、そしてドアを開いた。
次の瞬間に、ザインは信じられないものを見た、幻だろうと思った、なぜならザインは見たのである、月光を背にしドアの前に立つライカの姿を!
「ザイン!」
ライカが立ち尽くすザインに飛びついてしがみ付く、この時点でザインはようやくに、これが幻ではなく、本物のライカであると確信したのであった。

ライカは、ザインにしがみ付いたまま話し出す。この一年の事を…
人里に戻ったライカは覚えていたのだ、この場所からザインの家がある場所までの道程を全て、それは彼女が調査団に選ばれた理由の一つ、驚異的な記憶力によるものであった。
だから言ってすぐにザインに元に戻れるわけではなかった。
人を拒み続けるアーグレイの森である、この1年間と言う月日をライカは、一人でザインの家に行き着くことが出来る事を目標にして過ごす。
トレジャーハンターの助手を務め、森に事を調べ、体力をつけ…およそ考えられる事は全てした上で、ライカはザインの元へと戻ってきたのであった。
「ザイン…私は、自分の意思で来たのよ、だからもう帰らせようなんてしないで…ここに置いて、ザイン…」
「…らい…が…」
ザインは、言う事が出来るはずの無い言葉を発して、ライカを壊さないように気をつけながら抱きしめ返した。
「ザイン!」
自分の名を呼ぶザイン、それだけでライカは知る事が出来た…ザインの気持ちの全てを…

それは奇妙な光景であった。
片や普通の人の倍以上はあろうかと言う巨体を誇るオーガ、もう一人は華奢なハーフエルフの娘、その二人が裸で対峙しているのだ。
「…ぐう…」
ザインは恐ろしかった、柔らかく華奢なライカの身体を壊してしまいそうになる自分が、とても怖くて触れる事すら出来ずに、ただライカの裸を見つめ続けていた。
「ザイン、女の子はね、男の人の愛撫に堪えるように身体が出来ているの、だから大丈夫…抱いて…ザイン」
ライカが、ザインの腕の中に自分の身体を投げ出すようにして預ける、ザインの腕がゆっくりと動きライカを抱きしめる、壊れてしまわないように細心の注意を払いながらも、力強く自分の思いを込めて抱きしめるザインの肌に、柔らか二つの乳房が触れてくる、それは柔らかく子供の頃に母が与えてくれた柔らかさでありながら、それ以上に触れた部分から身体に染み込んでくる。
ザインはライカを抱きしたまま、仰向けに倒れこみライカを身体の上に置くようにした。
「ザイン…温かい…ザインの身体は温かくて気持ちがいい…どうしてだろうね?」
ザインは、その問いかけに応える代わり、掌をライカの乳房へと持っていき、乳房を軽く揉む
「あっ!」
身体を震わせ、身悶えをするライカの反応がザインを興奮させる、そしてライカも興奮する。
「キス…して、ねえザイン?」
ザインの身体の上を這い上がりながら、ライカがキスをせがむ、そしてザインの顔中を舐めながら唇を求める、ザインは困惑しながらも、ライカの顔を舐めるようにして唇を触れさせた。
ライカが舌を絡ませて、ザインの舌を吸いながら、甘噛みをしてくる、柔らかく舌の感触を確かめるようにしながら何度も…

柔らかなライカを抱きしめながらザインは、この先どうすればよいか見当がつかない…いや、如何したいのかは理解しているが、自分のモノをライカの身体の中に入れるという行為は、ひどく残酷な行為としか思えず躊躇ってしまう…そう、それほどのライカとザインの身体のサイズは違うのだ。
「ザイン、大丈夫…先に口でして上げるからね」
ザインの戸惑いを察したのか、ライカがそう言いながらザインの身体の上を、今度は下半身の方へとを肌を密着させたまま降りていく、そしてライカの腕程に大きく怒張しているザインのペニスにそっと舌を這わせた。
「ぐぅぅ…」
今までに感じた事の無い感覚が、一気に脳天へと駆け上がってくる、そしてその感覚だけでザインは達してしまった。
「きゃっ!」
勢いよく噴出したザインの精液が、亀頭を舐め上げようとしていたライカの顔面に叩きつけられ、ライカは小さな悲鳴をあげる。
顔中をザインの精液でベトベトにしたライカが、少し怒ったようなわざとらしい口調で言う。
「ザイン、まだまだ大丈夫だよね?」
そう言うと、再びザインの亀頭部へ舌を這わせ舐めあげ始める、チャペチャと言う湿った音が聞こえる、そしてペニスにこれまで味わった事の無い快感が走る。
「まだ…だめ」
そう言いながらライカは、亀頭の先端を限界まで開いた口で頬張り、吸い上げる、その刺激にザインは再び射精をする、含んだ口の中一杯に溢れかえる精液をライカは、全て飲乾して言う。
「貴方のだからなのよ、貴方のなら飲んであげることができるの…ザイン」
そうしてライカは、ザインの上に乗っかり自分の股間に、ザインのペニスを導く…そして、ゆっくりと腰を下ろしていく…
「うっ!くぅう…んっ!」
常識で考えれば、ライカの膣に収まるサイズではなかったが、充分に濡れている自分の膣内へと少しずつ挿入させていく
「ザイン…ゴメンね、初めてが貴方だったら良かったのに…ゴメンね…」
哀しそうに涙ぐみながら言うライカ、そうライカは初めてではなかった、それどころか過去において、数え切れない程の男に抱かれていた。
ハーフエルフ…それが原因である、滅多に存在しないハーフエルフの娘が、一人で生きて行くには、人の世はあまりに厳しすぎた。
美しく成長していくライカは、街に住む男達にとって後腐れなく性欲を満たす絶好の相手であった。
今でも覚えている、初めて自分を犯した男の言葉を…
『お前のような、出来損ないのあいの子を、俺様がわざわざ犯してやったんだ、せいぜい感謝しな』
いわれの無い差別と蔑みの中で、それ以後も男達は気の向くままにライカを犯したが、ライカは懸命に生きてきた、自分から男に身体を開いた事は無く(ある意味、身体を売れば楽に生きていく事が出来るというのに…)生活の糧として別の道を選ぶ、植物に精通したのは薬草を見つけ出し、それを調合し生活の糧とする為であり必要から求められた結果である、抜群の記憶力も同様であった。
ようやくに生活の基盤が出来始めた時に、突然に調査隊の一員として強制的に徴用され、アーグレイの森へと送り込まれる、死んでも惜しく無い存在として…

ザインは涙声であやまるライカを見る、そしてその頭に手を伸ばすと、優しく撫でた。
「ザイン…」
ザインの優しさが染み入る、だからザインの全て自分の中に受け入れたかった…ライカは、さらにザイんのペニスを自分の身体の膣中へ導く…
ザインのペニスを膣内に収める事に成功する、ぴっちりと隙間無く満たされた膣は、動かす事も出来ないほどであったが、自分を満たす感覚にライカは初めて満足感を得る、自分の意思で初めて抱かれた相手の全てを感じながら、そしてザインもペニスを締め上げる熱い感覚とは別に、それ以上の充足感を感じ取る、このまま何時までも繋がっていたいという思い…
「ザイン…動くからね…くっ!くぅうぅ…あっ!」
ライカが動くのとザインが爆ぜるのはほとんど同時であった。
ライカの胎内、その奥深くの部分に注ぎ込まれる精液の熱い感じながら、ライカも同時に達した。

ザインの厚い胸の上でライカはまどろむ、安心できる場所を見つけ出した安らぎを感じながら、それはザインも同じである、自分の胸の上に存在する小さな安らぎ、そっと抱きしめながらザインもまどろみに落ちて行った。


                              
『  補 』


人を拒み続ける場所、アーグレイの森…しかし、その奥深くに不思議な場所が存在する、巨大なオーガとハーフエルフの娘が暮らす不思議な家が…そして新たに…
小さな揺り籠がゆらゆらと揺れ動いている、その傍らではハーフエルフの娘が、その揺り籠を覗き込み微笑を漏らす。
揺り籠の中には、天使のような赤子が眠っている…ザインとライカ、二人の間に出来た初めての子供であった。
「エリアル、父さんも母さんも、あなたの事が大好きよ…」
揺り籠の中に囁きかけるライカに寄り添うザインの姿…
人を拒み続けるアーグレイの森、そこに居場所を見つけ出す者も居るのであった。



                          終
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