『 届かぬ思い… 』


夜のアーグレイの森、そこに踏み入る事は死と同義語である、しかしライカは夜のアーグレイの森を歩き続けた。
あの日、ザインと別れてからの一年、ライカは必死になり森へ踏み入ることが出来る技術を身に付けるために努力をし続ける、もう一度ザインに会いたいという思いが、そうさせたのである。
彼女が持つ特技の一つ、抜群の記憶力によりザインの家がある場所までの道程は記憶していたが、そこまで行く事が出来る技術をライカは持ちえていなかった。
何も考えずにアーグレイの森へ踏み込めば、確実な死だけが待っているのは既に経験している、すぐにザインの元へ行きたいのを必死の押さえ、ライカはこの一年と言う月日を訓練に費やした。
そして、ようやくに準備を整えてザインが住んでいる家へと向かう、ザインにもう一度会う為に…
アーグレイの森に踏み入って、すでに3日が過ぎている、記憶に間違いがなければ後2〜3時間も歩けば、ザインの家に辿り着ける筈であった。
それが、彼女の判断を誤らせた。今までは、夜になれば危険をさけるために樹上で休息を取り、夜が明けるのを街行動していたが、あと少しでザインの所に行く事ができるという思いが、夜のアーグレイの森を歩くという暴挙を実行させたのであった。
「ザイン…」
ライカは思い出す、ザインと過ごした数週間に日々を…初めてであった、あのような安らぎを覚えた日々は、ハーフエルフである自分が、今までにお受けてきた差別と蔑みを受ける暮らしの中では得られる事の無かった。
ザインの事を思い出したその時に、巨大な人影が、ライカの行く手を塞ぐかのように表れた。
(ザイン?)
一瞬、ライカはザインが表れたのかと思ったが、それは大きな間違いである、ザインと同じくらいに巨大な体躯であり、ザインと同様の姿をしているが、その瞳は凶悪なまでに紅く輝き、ライカを獲物としてみているのだった。
(オーガ!)
そう、それはザインではなく別のオーガであった。
これは、ライカの知らぬ事であったが、そのオーガこそ、その昔にエルフの少女を犯し、子を孕ませたオーガであり、言うならばザインの父親に当たる存在であった。
ライカは腰に付けている袋から、何かを取り出すと手に持っていた松明で火をつけ、それをオーガに投げつける!
次の瞬間に、眩いばかりの光が周囲を照らし出し、オーガの目を眩ませる、その隙にライカは逃げ出した。
一年間に及ぶ訓練の日々は無駄ではなかった。しかしオーガの目を眩ます事が出来たのは一瞬であり、オーガはすぐにライカの後を追いかけ始めた。
ライカは必死に逃げる、もう少しでザインに会えるのだ、こんな所で死にたくなかった、せめてザインにもう一度会うまでは死にたくなかった。
しかし、現実は常に残酷であり非情である、ライカはオーガに追い詰められてしまう。
一本の木を背中にして、ライカは山刃を引き抜いてオーガと対峙する、ザインと初めて会った時の様に自ら死を選ぶためにではなく、生き残りザインに会うためにオーガと闘う決意決をしたのである。
オーガは、山刃を構えているライカを面白そうに見る、そして無造作に手を伸ばしライカを捕まえようとした。
「くっ!」
伸ばされた腕に、ライカは満身の力を込めて山刃を振り下ろすが、オーガの強靭な皮膚と筋肉はその一撃を跳ね返してしまい、ライカの身体はオーガの腕の中に抱え込まれてしまう。
「いやっ!はなしてぇ!いやぁぁーーー!」
まだ手に持っている山刃で、必死の抵抗を試みるがオーガは意にも介さずに、ライカが身につけている衣服を引き剥がし始める、丈夫な生地で作られたはずの衣服は、簡単に引き裂かれ、その下からライカの白い素肌がむき出しになり曝される、手に持っていた山刃も奪い取られ完全に抵抗の手段を無くしたライカを、オーガはその本能の赴くままにライカを犯し始めた。
裸に剥かれたライカの乳房をオーガは、味見でもするかの様に舐めあげ、その乳首を食い千切り咀嚼する。
「いぎっ!ぎゃぁぁーーー!」
苦痛の悲鳴をあげるライカが面白いのか、更にもう片方の乳首も噛み千切り飲み込む、そして流れでる血を、まるで乳を吸うようにしながら喉へと流し込みオーガはんだ。
そして、いきなりライカを掴み上げたかと思うと、一気に怒張している自分のペニスを尻の穴に突き刺す。
「ひぃがぁぁーーーー!」
文字通り、尻の穴を串刺しにされたライカが断末魔の如き叫び声を吐き出し、四肢を痙攣させる、オーガはそんなライカの姿を無視して、ゴリゴリと差し込んだペニスを動かして快感を絞り取るようにライカを犯し続ける、裂けた尻の穴から血が吹きこぼれ、オーガの下半身を赤く染めていく、やがてオーガは尻の穴の突き込んだペニスから大量の精液を吐き出してライカの内臓を汚す、そして引き抜いたペニスをヴァギナへと再度突き込んだ!
「げふっ!」
すでに悲鳴を上げる事すら出来なくなっていたライカは、吐き出すような呻きを絞り出すだけであった。
深く突き込まれたペニスは、子宮まで進入して行き、その子宮すら突き破りそうになるほど荒々しく犯していく、ガクガクとオーガはライカの身体を揺り動かし、自分には快感をライカには地獄の苦痛を与え続け、やがて尻の穴の時と同様に、大量の精液を吐き出しライカの子宮を精液で充満させた。
ドサリと、ライカが放り出される、すでに精液が充満した肉袋と化したライカは、まだ命の火を微かに灯している、死にたく無い…ザインに一目合うまでは、死にたくないと言う思いだけが、ライカを生にしがみ付かせていた。
しかし、オーガはいったん放り出したライカを見る、そして腕を掴み上げると、その腕を力任せに引き千切った。
「ぎぃっやっぁぁーーーーー!」
激痛が、瀕死となり失い掛けていたライカの意識を覚醒させる、オーガは飢えていた、だからその本能の示すままに、嬲り犯したライカを今度は食料と認識し、喰う事に決めたのである。
引き千切った腕をボリンと骨ごと噛み砕き咀嚼して飲み込む、ライカは凌辱により壊された下半身を引きずりながら、必死に逃れようと這いずる…まだ死にたくない!せめて一目だけでもザインに会ってから…死にたくなかった。
しかし、逃げ切れる筈も無く、再び伸ばされたオーガの腕が、もう片方の腕を引き千切る、そして次は足を圧し折り喰らう…手足を引き千切られ、達磨のようになったライカは、まだ生きている、すでに悲鳴を出す力も失っていたが生きていた…ザインに会いたいと言う願いだけが、命の火を灯し続けさせていたが、それも限界が来た。
手足を失い、達磨となったライカを抱え上げたオーガは、大きく口を開け広げると、ライカの頭に噛み付く、ゴキャリ!と言う骨が破裂するような音がする、頭部の上…半分以上を喰い千切られたライカは、ザインに会う事無く命の火を消し去った。
オーガは、さらにライカを喰らい尽くしていく、残った頭部を完全に喰らい、腹を引き裂いて内臓をクチャクチャと咀嚼しながら、溢れ出る血を啜る、乳房を食い千切り、尻の肉を頬張り飲み込む…わずかな肉片と骨の欠片、そして流れ出た血を残して、ライカの肉体はオーガに食い尽くされる、なんの痕跡も残さずに…
腹が満ちたオーガは、森の中へと消えていく、すでに喰らい尽くした獲物の事など忘れたように、ゆっくりと…


                               
 『 幻影 』


夜の寂しさをザインは、日課の読書で紛らわす。
ランプの灯りと差し込んでくる月光で室内は意外なほどに明るいが、心の中ぽっかりと空いた虚ろは埋まる事は無い…
「…らい…が…」
本来なら発音不可能な言葉をザインは口にする、そして思い出す…あの時にライカを抱きしめて連れ帰ったなら、この寂しさは埋っていただろうかと、しかしすぐにそれを否定する、何故ならあの時の行動は、間違いの無い選択であったと知っているからである。
あの時、ライカを家に連れ帰って如何すると言うのか?
どうしようもない、所詮自分は呪われた存在であるのだから…
ザインは、この一年…ライカを人の世界に戻してから、毎夜のように同じ事を考え、あの行動が間違っていなかったという事を自分に納得させるのが、新たな日課となっていた。
ザインは、再び本に目を落とす。
コンコン
風の音か、ドアがノックされたような気がする、この家を訪ねて来る者など誰もいない、気のせいだろうと思い、無視をするが…
コンコン
ドアが再びノックされる、ザインは立ち上がるとドアへと向かい、そしてドアを開いた。
次の瞬間に、ザインは信じられないものを見た、幻だろうと思った、なぜならザインは見たのである、月光を背にしドアの前に立つライカの姿を!
ザインは、目をしばたかせもう一度開け放たれたドアを見る!
しかし、そこには何も無く月光が差し込むだけである、ドアの外に出て周囲を見回しても、人の痕跡などある筈もなかった。
(気のせいか…)
ザインは、再び元の場所に戻り読書を再開した…
ザインは知らなかった、知りようもなかった…ドアがノックされた瞬間に、ライカがオーガにより喰い殺された等と言うことを…
アーグレイの森は何も語らず、夜の闇に沈み込んで行くだけであった。



                                             終




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