幻想異生物物語



                             【 月の花嫁 】



現在、各地の辺境地帯に設けられた開拓村、あるいは独自の文化を持つ各氏族において『生贄』と称して、人(亜人、獣人、エルフ…なども含み)を捧げる儀式を行っている地域が少なからず報告されている。
それを、痛ましくも愚かな行為であると糾弾するか、生活に迫られた結果の仕方のなき行為として黙認するかは、各地域に中央政府より派遣されている地域管理官の個人裁量に任せているのが現状である。
ただ、今回報告されている、この辺境地方に置ける『月の花嫁』と呼ばれ、行われている生贄を供する儀式は、特例として『中央政府』の名の元に置いて介入する事になった。
本件は、その発端と顛末を簡略にまとめた物である…


                                   ◆発端◆


元々この辺境地方における『月の花嫁』と呼ばれる儀式は、10年ほど前より行われ始めた儀式であった。
それ以前には人を生贄に供する儀式の類は、記録の上では確認されていない
(ちなみに儀式が行なわれるようになった直接の原因として、10年前の時期に、この地方を襲った凶作と飢餓、及び危険生物の頻繁なる来襲が、原因と思われる)
儀式の内容は、ある意味単純である、満月の夜に、生贄に選ばれた娘(人、亜人、獣人、エルフ…種族は問わないが、若い娘である事が絶対条件である、ただしこの近在の種族間因習の結果として、一段低い存在と差別されている、亜人、獣人、エルフ…等の種族が主として生贄に選ばれている)を、祭儀を取りしきる司祭達が、荒野に設けられた祭壇に縛りつけて放置しておく…
基本的には、それだけであり翌朝、祭壇に縛られた娘はいなくなっている事を確認して、この儀式は終了する。
娘が祭壇より消えた事により、月が娘を「花嫁」として受け入れたとされ、そのかわりに近在に住む里の人々に繁栄と豊穣を約束したとされるのである。
(事実、この儀式が行われるようになってからは凶作、飢饉、危険生物の襲来などの、災害が少なくなったと言う証言もあるが、詳しく資料を検討した結果は、元々この地域は凶作や飢餓に見まわれた事が、ほとんど無い上に危険生物自体の存在報告がほとんど無く、10年前に出現した危険生物も人為的に放たれた形跡が、確証こそ無いものの認められる)
それら過去の資料を調べなおした、この地域に赴任してきた若い地域管理官の一人が、ある意味ありふれた「生贄」の儀式に対して、疑問を憶えた。
(この種の生贄を供した儀式は、その形式や形態こそ違うものの、数十の地域にて確認されており、珍しい類の話ではない)
だいたい、年に20名という人数の多さが奇妙であった。
(月に一度と、季節の節目や特別な日と称される時に年に数回、儀式が行われるのを合計すると、この数になる)、
また選ばれるのが若い娘だけと言う事実、そして何よりも儀式を取り仕切り、10年前より儀式を司り、近在の村々仕切っている司祭と称する者達の態度や行動に対して強い不信感を抱いたのであった。
そして、彼女は決心する、この地に着た時に、初めて話をした獣人の娘……自分に懐いてくれて、姉のように慕ってくれた娘が、生贄に選ばれたと知った時に、この儀式の裏に潜むであろう真実を知ろう決心したのである。

祭儀は、滞る事無く進み、祭壇に縛りつけられた娘だけを残して、すべての者達は、その場を離れていくが、件の若い地域管理者は、密かに祭壇のある場所に引き返した。
この事が、司祭達に気がつかれれば、命の危険すらあり得る事であったが、真実を知りたいという使命感が彼女を行動に駆り立てた。
そして、彼女は見る、儀式の裏に隠された陰惨な事実を…


                                     ◆真実◆


娘が縛りつけられている祭壇を月光が、明るく照らし出す。
すでに、全てを諦めたのか獣人の娘は、手足を縛られたままの状態で、身動ぎもせずに祭壇の上に横たわったままの姿でいる。
その祭壇に何かが近づいてくる、草を掻き分けて下草を踏みつけ、近づいてくる数個の影、これから起こる事に対して娘は、恐怖しながら脅えているが、叫び声を上げたいのを必死に我慢して、目を閉じて覚悟を決める。
自分が生贄になれば、病気をしている妹が医者にかかることが出来る、それを条件にして娘は、生贄になる事を承諾したのだ、そう約束してくれた司祭達の言葉を信じて…
何かが近寄ってくるわかる、生臭いような息が顔にかかる、そして……
「ほ〜…今回も、なかなかの上玉だな」
人の声…?
娘は、恐る恐る目を開ける、見開かれた瞳には、縛られてる自分を見下ろしてる数人の男の顔が写った。
この男達はなんなのか、娘は理解できずに男達を見上げる。

祭壇に近寄って行く男達の姿を確認した時に、管理官である彼女は全てを理解した。
「月の花嫁」と言う儀式が何故、若い娘だけを生贄として選ぶのか、何故こんなにも沢山の娘が生贄として供されたかを、そして何故このような祭儀を司祭達が、異常なほどに進めていくのか、その実態は繁栄と豊穣をもたらす祭儀などではなく、選ばれた若い娘を売り飛ばす、人身売買の儀式である事理解したのだ。


                                       ◆凌辱◆


「しかし、毎回上玉なのは良いが、商品に手を出せないのが辛いところだな」
男の一人が、縛りつけられたままの娘を見て言う、その言葉に対して、兄貴分らしき別の男が下卑た笑い声で応えた。

「ひひひっ…喜べ、今回は特別だそうだ、たまには俺達が味見しても良いとよ、ボスからの日頃の仕事熱心さに感謝の気持ちを込めての特別報酬だとさ、ただしだ…アソコには突っ込むなよ、口や尻の穴には突っ込んでもいいがな、よく覚えとけ!」
男達の間に、ざわめくような喜びの声が沸きあがり、そして、獣人の娘に対する凌辱が開始された。
娘の手足を戒めていた縄が解かれる、別に娘を自由にしてやるためではなく、娘を犯すのに縄が邪魔なだけであったからだ。
一方、戒めを解かれた娘は、怯えたように祭壇の上で縮こまり、恐怖に満ちた眼差しで男達を見る、叫び声を出したいが、恐怖に麻痺した舌が喉に張りついて、声を出す事も出来ない、ただ無力に震え身を竦ませる事しか出来ずにいた。
男達の腕が伸び、娘の身に着けていた生贄の儀式用に作られた衣装を引き裂き、あっという間に衣装を引き裂かれた娘が、這いずりながら男の手から必死になって逃げようとするが、男達のごつい腕が娘の躰から、布切れと化した衣装の残りと下着を引き裂き、剥ぎ取る、全裸にされた娘が、少しでも素肌を男達の視線から守ろうとするかのように、両手で胸を隠し、男に背を向けて縮こまり、恐怖のためかブルブルと小刻みに震えているのが、はっきりとわかる……
男達は娘を仰向けに組み伏せると、ようやくに微妙な膨らみを見せはじめた乳房を乱暴に揉み上げ、また別の男は乳房を噛み締め歯型を刻みこむ、そして豆粒ほどの大きさの乳首を舌で嬲る、恐怖で麻痺していた口から、乳房を嬲られる苦痛により開放された苦痛の叫びと助けを求める悲鳴が、交互に溢れ出して行くが、男達はその声を無視して、娘を嬲っていく…

その一部始終を見ている管理官は、飛び出して行こうとする自分を必死になり押さえこむ、相手の人数は5人!
特に武術の心得があるわけでもない、ただの女でしかない自分が不意をついたとして、どうにかなる筈もない、ただ黙ってみている事しか出来なかった。
耳朶には、娘の悲痛な叫び声が刻み込まれて行く、握りしめた自分の拳から血が滴る、どうしてあげる事も出来ない歯痒さに身を震わせながら、彼女は唇を噛み締め必死に堪え続けた。

男の手が、全裸に引き剥いた娘の足を持ち上げて大きく開く、まだなにも生えていない娘の股間が露になり、周囲の男達に晒されて行く、娘は身を捻りながら必死に抗い、そのか細い腕で男の分厚い胸板を叩き、男から逃れようと必死の努力をしているが、どうなるものでもなく、男達のなすがままにされ続けている。
そんな中で、突然に一人の男が小さな声を出して飛び退る、どうやら娘の必死の抵抗により、何処かを傷付けられたようである。
それを見た他の男達が、笑い冷やかす。
傷の痛みよりも、抵抗され傷を付けられたという怒りが男の中に充満していく、そして娘に群がっていた他の男達を強引に退かせると、娘の両腕を片腕だけで捻るようにして持ち上げ、その身体を完全に宙に浮かせる。
「あうぅぅ!」
腕の痛みに、娘は苦痛の声を漏らす。
そんな娘に対して、腕を掴み上げたままで男は腕を振り上げると、娘の顔面に向かって力の限り握りこぶしを振り下ろそうとするが、その拳が娘の顔面に叩き込まれる寸前!兄貴分の男が、その腕を掴んで御し止る、別に娘の身を案じての行動ではない
「バカヤロー!いくら味見をしても良いと言っても、大事な商品だ!殴るなら傷が残らない場所を殴れ!」
娘は商品である、いくら自由にしても良いと言う話であっても、この後に商品としてしかるべき場所の納められる品物なのである、それに痕が残るような、特に顔などに傷がつくのは避けなければならないのだ。
腕を掴まれた男は、忌々しげに娘を睨みつける、そして拳を顔面に出なく腹にへと叩き込む!
一発!二発!三発!それなりの手加減はしてるのかもしれないが、容赦の無い力で、殴りつけた。
最初の一撃で娘の息が止まる、次の一撃で最後に食べたモノを吐き出す、そして更に加えられた一撃で娘は失禁をした…
男が掴んでいた髪の毛を離す…ドサリ!と祭壇の上、自分が吐き出した嘔吐物と失禁した小水の水溜りの上に、ベチャリと娘が落下した。
苦しげに顔を歪め、涙と鼻水でグチャグチャになった顔を引き攣らせながら、娘がビクビクと震え、唇を微かに動かし何か言っている。
そんな娘を前にして、殴りつけた男が何事かを囁くように言った。
娘は、身体を震わせながら男の股間に手をかける、そしてズボンのベルトをその細い腕で解きほぐすと、男のズボンと下着を引き降ろし、露出させた下半身から突き出されたペニスを脅える眼で見た後に、そのペニスに口を近づけたかと思うと、ペニスを頬張りクチュクチュとしゃぶり始める、眼から溢れ出した涙が頬を濡らし流れていく、男の手が娘の頭を押さえ込むようにして、更に口の奥深くへとペニスを突きこむ、それを見ていた他の男達も、我慢出来ないとでも言う様に、フェラチオをさせられている娘に襲いかかった。
「ちょっとまてぇ!」
娘に襲い掛かろうとした他の男たちを、フェラチオをさせている男が止める、別に娘の事を考えてと言うわけではない
「バカ野朗!いま尻の穴に突っ込んだら、俺のが噛み切られるだろうが!」
確かにこの状態で、尻の穴に突っ込まれれば娘は、苦痛のあまりに咥えさせられているペニスを噛み切ってしまうかも知れず、男としては溜まったものではない
「いま一回出すからよ、ちょいと待ってくれよ!」
そう言うなり男は、咥え込ませているペニスを激しく動かしだす。
娘の口の中で激しく動くペニス、突き込まれた先端は食堂の辺りまで吐き込まれ、嘔吐を誘い娘は咳き込むが、それに関係なく男は更に激しく吐き込み、その口の中の柔らかさをペニスで蹂躙して行く、舌の柔らかさ、軟口蓋滑るような感触、小さく硬い歯で扱かれる快感、男は快楽の末に娘の口中に精を放った。
「ンクッ!」
娘の小さな呻き声、そして唇の端から溢れ出た白い涎、引き抜かれたペニスに繋がる、粘つく幾本かの濁った糸が娘の口から溢れ出し、引き抜かれたペニスが娘の唾液と吐瀉物でヌラヌラと鈍く光り、娘の口から溢れ出した精液が頬をつたい落ちる。
咳き込む娘を男達は、乱暴に四つん這いのさせると、ペタペタと尻や頭を撫でる様に叩きながら娘を誘導しながら、その場で男の手が娘の腰を掴み固定させる、そして腰を掴まえていた男が、娘の尻目掛けて一気に自分の腰を突き出す!
魂が掻き消えるほどの切なくも哀しい叫び声を娘は搾り出し、逃げ出そうとするかの様に身体を捩り暴れだすが、身体をがっちりと押さえ込まれており、ろくに身動きすら出来ずに尻の穴を犯され続けていく
獣人だからと言う訳ではないが、獣の断末魔の叫びにすら似た苦痛の叫び声、男が腰を突き出す度に悲鳴が上がり続ける、さらに腰を振りたくりながら男は娘を背後から責め苛む、
ガクガクと娘の身体が激しく動く、我慢し切れなくなった男の手が小さな乳房を揉み上げる、その小さな手をとり自分のペニスに触れさせて扱かせる、鼻を摘まみ上げて口の中に突き込む、娘の小さな身体が男達の中に消えるようにして、犯され続けていく……何時果てるとも無く延々と……
やがて男達は、ようやくに満足したのか娘を持ってきたズタ袋に放り込むんで、どこへと無く連れ去った。

後には、この惨劇を見ることだけしか出来なかった地域管理官の女性だけが残された…


                                     ◆経過報告◆


彼女、地域管理官からの報告書を受けた中央政府は、司祭を捕縛するために警務組織を差し向けるも、事前にこの事をどの様にしてか察知した司祭達は、すでに逃亡しており捕縛には至らなかった。
なおアジト(司祭達の祭殿)から発見された資料から、この10年間に売買された娘達の総数は212名(内訳は人…10名、獣人…156名、妖精…30名、種族不明…16名…なお獣人には、混血も含まれる)に及ぶ事が判明…残念ながら、売られて行った娘達の行方は、ほとんど確認できなかった……


                  
                                     ◆小さな余談◆


彼女…地域管理官・リンダ・ステェイシーが、ようやくにその獣人の娘……ジェシカを見つけ出した場所は、地方の売春宿であった。
ジェシカが生贄と供されてから、一年近くの月日が経っていたが、リンダの懸命な調査の末に、残されていた資料からジェシカが、売られた先を調べ上げ、ようやくに居場所を突き止める事が出来たのだ。

最初は渋っていた売春宿の親父もリンダが引き合いに出した中央政府の威光の前には、娘を諦めざるえず(とは言え、それなりの金額を売春宿の親父に対して、リンダが個人的に支払う事を余儀なくされたのだが)ジェシカを監禁している部屋へと、彼女を案内する。
「ジェシカ!」
彼女は、獣人の娘の名を呼ぶが、その問いかけに反応した言葉は…
「いらっしゃいませご主人様、本日はどのようなプレイがお望みでありましょうか?」
そう言いながら、首輪を付けられたうえに鎖で繋がれた下着姿のジェシカが、四つん這いで這い出して来る。
「ジェシカ…」
ジェシカの姿を一目見たリンダは絶句する、ジェシカの左足は足首の上から切断されていたのである、それだけではない、その両目は硬く閉じられたままであり、その腹は大きく膨れ上がっていたのである。
リンダは、ジェシカに駆け寄るとその身体を抱きしめる、あふれ出してきた涙がポタポタとジェシカの身体の上に落ちていく
「リンダ……お姉ちゃん?」
抱きしめられたジェシカが、驚いたように、そして恐々と言う感じで聞いてくる、リンダはその問いかけに言葉で答える代わりに、ジェシカの身体を強く抱きしめながら頬擦りをし応えた。
「リンダお姉ちゃん!」
その硬く閉じられたままの眼から、涙を溢れ出せながらジェシカが縋り付くようにリンダに抱きつく、互いに二度と離さないとでも言うように抱き合いながら、二人は涙を流し続けた。

「これは、どう言う事なんですか!」
変わり果てた姿のジェシカを抱きしめたまま、リンダは売春宿の親父に詰め寄るが、親父は平然とした態度で答える。
「逃げ出そうとした、この獣人の娘が悪いんだ」……と
一度目に逃げ出した時は、罰として半死半生の目に合わせた上で
『次に逃げ出そうとしたら、足を切り落とす!』
と、言ったのに再び逃げ出そうとしたので、言った通りに足を切り落とした。
『次に逃げ出そうとしたら、目をえぐるぞ!』
と再度言ったのに、逃げ出そうとしたから両目をえぐった。
自分の持物をどうしようと自分の勝手だ、親父はそう嘯き笑う。
確かに金で売り買いされた獣人の娘を、どうしようとも買い取った人間の勝手であり、生殺与奪の権利すら自由である、だからこの親父がした事は、程度の差こそあれに日常的にこの世界で行われている出来事と言えた。
それでもリンダは湧き上がる怒りを抑えきる事が出来ない、ブルブルと身体が怒りで震えだす。
「お姉ちゃん、だめ…」
次の一瞬で、売春宿の親父に対して、腰に挟み込んでいる護身用の短銃を撃ち込もうとした時に、抱きついているジェシカがリンダの行動を察知したかのように言う。
その声で、リンダは我に返り気がつく、自分が本当に銃弾を撃ち込みたいのは、目の前の売春宿の親父ではなく、自分自身にだという事に……
あの時『月の花嫁』の儀式が行われている時に、助ける事が出来たなら、いやその前に『月の花嫁』の儀式を知った時に行動を起こしていれば、ジェシカはこのような目にあう事が無かった筈だ、何もかも自分が遅かったのだ。
「ごめんね、ジェシカ……」
リンダは、その売春宿からジェシカを連れ出すと、外に待たせていた馬車に乗り込んだ。

自宅へとジェシカを連れ帰ったリンダは、傷付き果てたジェシカを懸命に看病する、病気であったジェシカの妹シンシアも、すでにリンダの元に引き取られており、かかっていた病気は完治している、そしって姉妹二人は互いに再会できた事を喜び合った。
ただ、ジェシカは妊娠しており、お腹の赤ん坊はすでに堕胎も出来ぬほどに成長していた、しかも衰弱しているジェシカにとって、子供を産み落とすと言う事は、彼女自身の命を危険にさらす事と言えたが、ジェシカは迷う事無く子供を生む事を望み、その子供を出産した。

元気の良い産声が部屋の中を満たす。
子供は無事に出産されたが、母体であるジェシカは、その命の全てを生まれ出た赤ん坊に渡し尽くしたかのようであった。
「外を見たいの…」
盲目となったジェシカであるが、産まれたばかりの我が子を抱きしめながら、付き添いのリンダやシンシアに頼む、産婆役を務めた老婆が静かに頷く、好きな事をさせて上げなさいと言うように……
小春日和の暖かな日であった、生まれたばかりの赤ん坊を抱いたジェシカが、抱いている赤ん坊に語りかける。
「お母さんは、もう見る事は出来ないけど、この世界は温かくて綺麗でしょう?だから沢山の事を見て感じてちょうだいね、妹のシンシアやリンダお姉さんみたいな優しい人と一緒にね…」
そしてジェシカは、しずかに眠りにつく……二度と目覚める事のない眠りにへと……

この時に生まれた人と獣人の混血児である、ルーファスと名付けられた亜獣人が、この世界の歴史に、その名前を刻み込むのは更に十数年後の事であった。



                                                終





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