ウィザードリィ・異聞

                           【 迷宮無残 】

                              『 序 』


 迷宮の闇は暗く深い…地下一層よりも、地下二層が、そして更に地下三層がと階が深くなれば深くなるほどに、闇と混沌は色濃くなっていき、そこに潜む怪物、魔物、悪魔も、また強さと凶悪さを増していく、それは地獄へと続く道のようであった。ただ、不思議な事に、下層に存在する強力な魔物達は、けして上層の階には出現せず、その強さに従うかのごとく地下迷宮の奥深くに、その身を潜ませていた。それは、まるで地下迷宮を探索する冒険者達のレベルに合わせるかのようであり、ある意味で言えば、このワードナ―の迷宮における最大の謎の一つであった。


                                    
                               『 悪魔王 』


 それに気がついたのは、この我だけであった。遥かな地下迷宮の奥深く、最下層の地下第10層においても、その強さと凶悪さ狡猾さは、迷宮の主人たる尊大なる大魔導師ワードナー、その忠実なる下僕たるバンパイア・ロードを除けば、迷宮にて一番の実力を持つ、こも我だからこそ気がつき得た事であった。
 日の合、月の合、星の合…そして、天の合、地の合、刻の合…その他、幾つもの合が複雑に絡み合い、重なり合い、万分の壱…いや、億分の壱の偶然により、我を!魔界の王たる我を!異界の魔神たる我を!(逆に言えば、その魔力の強さゆえに)地下迷宮の最下層に閉じ込めていた因果が消え去った事に、我は気がついた。
 我は、笑う…その、他の者どもが見れば、恐れ慄くであろう、歪んだ相貌に、表情の無い顔に笑みを浮かべながら想像する…我が地上世界に出でたる時の事を…我の持つ力の万分の一を…この忌わしき迷宮内にては、抑えられている力を存分に奮い、破壊と殺戮に酔いしれる我の姿を、蛆虫のごとく無力なる愚人どもの断末魔、踏みにじり蹂躙される者達の怨嗟の呻き声…我は…我の力を地上世界で思う様に奮うために、地下迷宮の主人たる大魔導師ワードナーにより定められている、地下迷宮最下層より魔法を使い地上の世界に、我を移動させようとする…しかし、その時点で、我は初めて気がつく、我の自由を妨げる因果が完全に消え去ってない事に…
 確かに、我をこの場所に閉じ込めていた因果は消え去り、上層の階に自由に行く事は可能であった。しかし、更にその外に、地上の世界に行くためには、別の系統の因果が我を阻んでいる事を知る…つまり、迷宮内部は合により消え去った因果により、自由に移動可能なのだが、迷宮の外、地上世界に赴く事は不可能であった。
 我は怒り狂う…魔族が持つ、本能とも言える破壊と殺戮の欲望…なまじ、存分に奮えると思っていただけに、暗く、深く、どす黒い、人外の残虐な思考が、怒りと失望のために一層、濁りを煮えたぎらせて行った。
 その時に、我は感知する…人の持つあらゆる感覚を、遥かに凌ぐ五感…そして、人が持ち得ぬ超感覚が迷宮の上層に愚かなる冒険者達がいる事を…そう、迷宮の内部ならば、暫くの刻の間、我は自在に動き回れるのだ…そう…合が終わるまでの刻までは…
 我は笑う…その鬼面に笑みを形作りながら…我は呪文を唱える…
『…マロール…!』
 我の姿は、最下層の闇と瘴気を纏いつかせながら空間に消え去った……

最下層の玄室にて、水晶球に写し出された一部始終を見ている男がいる…
そして、その脇に控えている真紫の礼服に身を包み、傅いている青白い影が一つ…
「よろしいので…わが主よ…」
「捨て置け…ヴァンパイア・ロードよ…」
傅いている影…ヴァンパイア・ロードが、少しだけ…不満と言うには、まだまだ不足を感じるが…言葉をはなつ…
「しかし…」
「よい…この世界には、偶然などはあり得ぬのだ…いま、この時に…合が消え去り、あやつが上層の階に出向いたのも、運命の必然…この運命の、ざわめき…どのように歯車が回り、このワードナーの前に、現れるか…楽しみな事であろう…」
 ヴァンパイア・ロードが、傅いたまま闇の中に溶け込むように消えて行く…しかし、消え去りながらも、言を発する…
「わかりました。わが主よ…しかし、念の為にフラックめを、あやつの監視として送る事だけは、御許し下さいませ…」
 水晶球を見つめたままで、ワードナーが微かに頷く…
「御意…」
 そして、ヴァンパイア・ロードが闇の中に完全に消え去る…後には、水晶球を見つめるワードナ―だけが残される…
「マイルフィクスの奴め…想像以上に働いてくれおる…」
 迷宮最下層…玄室の薄闇の中で、ワードナーは笑みを浮かべる…その笑みが、如何様な意味を持ちうるのか、当のワードナ―以外には、誰も知り得ぬ笑みであった…


                                     
  
                                 『 初陣 』


「ハリト!」
 呪文が唱えられ、掌よりうみだされた火球が、オークも顔面を直撃する。
「ブギャウァ!」
 直撃を受けた、オークが絶叫して仰け反る、致命傷ではないが、火球を受けたオークの顔面は醜く焼け焦げている、間髪を入れずに鎧に身を固めた侍の剣が、オークの腹に減り込む!
「ヒギュッ!」
 オークが、短い断末魔の叫び声を上げて、その場に崩れ落ちる、次の瞬間には、別のオークに二人の戦士が、絶妙のタイミングで切りかかる、オークはその剣先を避ける事すら出来ずに、胸と首を同時に切り裂かれて、声を出すまもなく絶命した。
 これで二匹のオークが倒れる…六匹いたオーク達、その中の前列にいた三匹のオークの最後の一匹が、戦士と侍がいた空間を抜けて後方にいる僧侶に威嚇の絶叫を張り上げながら、突進していく!恐怖の為か、僧侶は凍りついたように動けないでいる、立ち尽くす僧侶にオークの錆びついた剣が振り下ろされる寸前、最初にオークを倒した侍が、オークと僧侶の間に滑り込み、僧侶をかばうかのように、オークの剣を自らの剣で受けとめる…しかし、剣の勢いを完全には殺せずに、流れたオークの剣先が侍の腕を抉り傷を負わせた。
 オークが再度、侍に一撃を加えようとする、しかし、剣を振り上げたオークの背に、魔法使いが放ったハリトが直撃する。ひるんだオークに戦士の剣が振り下ろされ、オークは絶命した。
 冒険者達のパーティーは、再び生き残りの三匹のオークと対峙する…勝目がないと、覚った生き残りのオーク達は、算を乱して逃走しはじめる…戦闘は終結した。

「ザイン!」
 腕を負傷した侍に、助けられた僧侶がかけよる、その声は若い女の声であった。
「ごめんなさい、ザイン大丈夫?いまディオスを唱えるから、待っていて」
 女僧侶がディオスの呪文を唱える、淡い輝きが傷口を包み込み収束して行く…そして、光が消えていく…しかし、傷口は完全には治癒されていなかった。 
 治りきらない傷口とザインと呼ばれた侍の顔を、泣きそうな顔で交互に見ながら女僧侶が再び、ディオスの呪文を唱える…そんな、女僧侶の傍に近寄ってきた、エルフのい魔法使いが女僧侶を見ながら冷ややかな口調で言う。
「セリア…今のは、貴方のミスですよ…同じエルフ族としても、恥ずかしいですね」
 セリアと呼ばれたエルフの女僧侶にはわかっていた。先ほどのオークとの戦闘において自分が犯したミスを…地下迷宮の怪物達との初めての戦闘…その恐怖のために、戦闘を補助する呪文を唱える事すら出来ず、そればかりか自分に迫り来るオークの剣から、身を守る事も満足に出来なかった、もしザインが庇ってくれなければ、自分はオークの剣を受けて死んでいたであろう事を…
「ごめんなさい…シヴァ…ゴステロ…バグー…スラッシュ…」
 セリアは、パーティーのメンバーに謝る…エルフ族の魔法使いシヴァ…ドワーフ族の戦士ゴステロとバグー…ホビット族の盗賊スラッシュ…そして
「…ザイン…」
 人間族の侍…ザインに…
「気にするな、俺は生きている」
 ザインと呼ばれた侍が、セリアに笑いかける、その笑顔は迷宮の闇の中にあってさえ、陽の光を思い起こさせるような、明るく優しく暖かな笑顔であった。
「ふ〜…相変わらず、セリアには甘いですね、ザイン?」
 呆れたような、それでいてどこか嬉しそうな口調で、シヴァはザインを身ながら言う。
「初めての迷宮、初めての戦闘、負傷したのが俺だけだったのは幸運さ、それに前衛の者が後衛の者を守るのは戦いの基本だ、そしてセリアはこうして俺の治療をしてくれてる、僧侶の役目は充分に果たしてるさ、なっ!みんな…」
 ザインの言葉にシヴァは、何かを言おうとしたが言葉を途中で飲み込み、苦笑を浮かべる、そして後方でニヤニヤと笑いながらやり取りを見ていた、他のメンバーにおどけたように肩をすくめて見せる。
「ザイン…ごめんなさい…」
 セリアが再び、ザインにあやまる…二回目のディオスにより、完全に癒された方の手をザインはセリアの頭におき、そのままセリアのクセのある、やわらかな金髪をクシャクシャと掻き回すようにしながら頭を撫でる…もう気にするな…温かなザインの手は、そう言っていた…しかし、頭を撫でられながらセリアは思う…自分の事…ザインの事…を…


                                      
                                 『 セリア 』


 セリアは思う…小さな頃から自分は鬼子だったと、チラリと同族たるエルフのシヴァの方を見る、エルフ族の特徴を体現しているシヴァの姿を…細身な身体のつくり、造形美の極致を思い起こさせる顔、流れるような綺麗な金髪、優雅とさえ言える身のこなし…それらがバランス良く整い、妖しいまでの美しさを溢れさせている、それは個体的な差は多少あれど、エルフ族に共通した特徴と言えるだろう。
 それに比べて自分は、どうであろうか?おなじエルフ族だと言うのに、細身と言うよりは貧弱で幼い体つき、御世辞にも美しいと言えない顔の造り…しかも、眼鏡もかけている、クセのあるモシャモシャとした髪の毛、全てに置いて優雅さとはまるで縁がない…およそ、エルフ族らしくない自分の姿…
 故郷の森に居たときから、なぜ自分は他のエルフ達と、こうも違うのだろうと考え、悩んでいた。その事に耐え切れなくなった私は15の春に、泣いて止める母を振り切り、逃げ出すように故郷のエルフの森を飛び出した。
 そして、私はこの狂王トレボーの城塞都市に辿り着く…初めての大都市、溢れかえる人々の群れ…人間族、エルフ族、ドワ―フ族、ホビット族、ノーム族…故郷の森では、見た事もない雑多な種族の人々、その喧騒の中で、私は生まれて初めての安らぎを感じた…

 トレボーの城塞都市に来て、数ヶ月の日々が過ぎ去る、職を見つけ…日々の生活を過ごして行く…そして、城塞都市の生活にも慣れ始めたころ、トレボー王の告知が出される…
『地下迷宮の奥にひそむ、魔法使いワードナーを倒しアミュレットを奪回せよ…その暁には<名誉と富>その双方が与えられるであろう…』
 私は、その告知を知った時に、冒険者を目指した。それは、自分に対するコンプレックスの裏返し、何か凄い事をして他人に、自分と言う存在を認めさせたかったからである。
 適性検査の結果、幸いに私には、僧侶としての素質があった。そして始まる訓練場での鍛錬の辛く厳しい日々、その中で人間族の侍『ザイン』に出会う事となる。
 最初は喧嘩ばかりをしていたザインと私…しかし、気がつけば何時の間にかザインを姿を追い求めている自分がいて、一番の仲間として何でも話せる友人になっていた…そして何時しか、お互いを特別な存在として意識するようになっていた。

 訓練場での最後の日…明日からは、冒険者としてギルガメシュの酒場で仲間を集い、迷宮の闇を日常とすり日々が始まる…その日、ザインに私は呼び出され言われる。
 訓練場の外れ、雑草が生い茂るばかりの場所、二人がよく話をする場所…ザインは、何時もの彼らしくもない、何か迷うような表情を浮かべながら…それゆえに、真剣な口調で言う。
「冒険者になるのは、やめろ…セリア…」と…
 ザインが何を言いたいのか…わかる…自分でも、能力は別としても冒険者の資質、その本質において、自分は何かが足りない事に…それでも私は、ザインの顔を真直ぐに見て言う。
「貴方と一緒にいたいの…」
 ザインが、何か言おうとする…私は、そんなザインに抱きつくようにして、自分の唇をザインの唇にかさねる…ほんの、一瞬だったかもしれない…息が苦しくなるほどに長かったかも知れない…二人は抱きあい、草の中に倒れ込む…ザインは、私を抱きしめたまま動かない…私も、そんなザインに身を任す…
「守ってやるよ…」
 ザインは呟くように言う…私は、ザインに強くしがみつく……
「守ってやる!」
 今度は、大きな声でザインは言う。
「ザイン……」
 私は、小さな声で囁くように言う…
「耳元で、あまり大きな声出さないで…私…耳が大きいから、耳がおかしくなっちゃう…」
 ザインが、弾けた様に笑い出す…私も、一緒に笑う…ザインのぬくもりを身体全体に感じながら…
「ザイン…」
 私はザインの目を見つめる…そして…自分の方から、再び唇を重ね合わせる…


                                      
                                 『 ザイン 』


 ザインの手がセリアの小さな…しかし柔かな胸の上におかれる、すっぽりと掌で覆われるセリアの乳房…ザインは、まるで自分の掌とセリアの乳房の大きさを比べるかのように、シヴァらくの間、乳房の上に置いた掌を動かさずにいる…
「どうしたの…ザイン…ごめんね…ちいちゃくて…胸が…」
 ゆっくりとザインの掌が動き出し、セリアの胸を優しく揉み上げられる…
「いや…なんだか、壊してしまいそうで…痛くないか?」
「ばか…女の子はね、好きな人を受け入れる事が出来るの…」
 そう言うセリアの顔が、すねたように横を向く…
「これ以上言わせないで…」
ザインは、言葉で応える代わりに、乳房の上に置いた掌の動きを大きくして行く…やがて、その手が少しずつ下に降りていく、そして空いた乳房の上でツンと尖っている乳首をザインは唇で噛む、そして口の中に含んだ乳首の先端を舌で転がすように愛撫する。
「あっ…」
セリアが小さな声を上げる、セリアの身体の中から何かが湧きあがってくる、その熱い何かが、セリアの頭の中でぐるぐると回る…胸から唇を離したザインがセリアの顔に熱いくちづけの雨を降らせる、貪るように唇を重ね合わせると舌を差し込み絡ませ激しく吸う、セリアの口の中の唾液がザインの口に移るザインはそれを飲み込み言う。
「セリア…とっても美味しいよ…」
今度は逆にセリアが、ザインの口の中に舌を絡ませて激しく吸いザインの唾液を啜る、そしてザインがしたのと同じように嚥下する。
「ザインのも…美味しい…」
セリアは目を潤ませながら言う、声に何か熱い物が含まれているのがはっきりと解る、そんなセリアを抱きしめたままザインの舌が首筋、胸、乳首、腕、指先、腹、背中、尻ありとあらゆる所を舐めまわし愛撫する、優しく時には荒々しく、愛しむように嬲るように、まるで千の舌を持つ陰魔のようにセリアの身体を飴のように嘗め尽くすとでも言うように…やがてザインの舌がセリアの一番敏感な部分に滑り込み小さな肉芽を愛撫する。
「ひあっ!」
セリアが声を上げる、ザインの舌がセリアの中にゆっくりと刺し込まれいく、そしてセリアの中でまるで生き物のように蠢きセリアに切ない喘ぎ声をさらに上げさせる。
「愛して…ねえ愛して…ザイン…お願い…私を…あうっ!あっあぁぁんーんぁっ!」
やがてセリアの肉壁の中から透明なサラサラとした液体が零れるように溢れ出す、ザインは舌でそれを受け止めると、わざと音を立てて飲む…まるで、それが聖なる物であるがごとく…
「だめっ、ザイン…そんな事しないで、汚いから…、恥ずかしいから、お願い…おねが…」
セリアは自分が出した物を理解していなかった…自分の体から流れ出している液体…それは、自分のオシッコだと思い、それを飲むザインに止めるように哀願する、しかしザインは飲むのを止めずにセリアに言う
「セリア…いま、セリアが出しているのは…おしっこ何かじゃない…女の人が感じた時に出す綺麗な、男を受け入れるための聖なる液体なんだよ…嬉しいよ…俺を受けいれてくれるんだ…セリア…」
「でも…だって…わたし…おんなのっ…こっ…ですもん…あぁぁーー!はぁー…やぁー」
ザインの舌がさらにセリアの肉芽を突つくように愛撫し、セリアの身体から愛液を溢れ出させる、そしてセリアの股間に顔を埋めザインの顔が丹念にセリアの花園全体を愛撫する。
セリアは切ない喘ぎ声を漏らしながら言う
「はっあうんぁ…ザイン…ザイン…来て、お願い来て…おねがい…」
セリアの花園はすっかり濡れそぼり、ザインの逸物を受け入れる準備は出来ていた、そしてザインの方も充分に勃起した男根は、はちきれんばかりにそそり立ち、セリアを肉壷を求めていた。 
 ザインはセリアの両足の間に身体を割り込ませると、そのままセリアの上に覆い被さるようにする、そしてセリアの花園に自分の物を添える。
「セリア…」
ザインの逸物が、セリアの身体の中にゆっくりと沈み込んでいく、セリアの花園は充分に濡れておりザインを受け入れる準備は出来ていたはずであった。
 しかし小柄な…そして初めて男を受け入れるセリアの花園にザインの逸物は大きすぎた、まるで刃のないナイフで無理やりに身体を引き裂かれていくような痛みがセリアを襲う。「いっ、痛い…、お願い、もっと優しく、優しくして…お願い、ザイン、痛いの…それに…恐いの…」
身体を引き裂かれる痛みに、セリアが苦痛の声を出しザインに哀願する、そしてザインの逸物から逃れようとするかのように、無意識にセリアの身体が摩り上がり、ザインの逸物がセリアの身体から抜ける。
「セリア、動かないでくれ…力を抜いて…俺に身を任せるんだ…大丈夫…恐くなんかないから…俺にしがみついていてくれ…セリア……」
再びザインがセリアの花園に自分の物を添える…
「まっ、待って!」
セリアが思わず再挿入をしようとするザインに哀願する、嫌ではない…それどころか、早く一つになりたいと思っている…しかし、先程の痛みと未知なる恐怖がセリアに躊躇いの言葉を口に出させる、ザインはそんなセリアを優しく抱きしめ耳元に囁く…
「セリア、少し痛いけど我慢できるか?もしも…嫌ならもう止めるけど…どうする?」
セリアはザインにしがみついたまま頷く、そしてさらにザインに強くしがみつき目をつむる、ザインはそんなセリアの両肩を押さえつけるようにしながら、一気にセリアの中に自分の物を再び突き入れる。
「あっ!」
突然の強引とも言えるザインの動きにセリアは反応するいと間もなく貫かれ、花園から流れ出た鮮血が、セリアの太股を伝い零れ下草を濡らす…鮮やかな色を着色した青草が揺れ動く…セリアはザインにしがみつき身を裂かれるような痛みに必死に耐える…
 クルリとザインがセリアを抱かかえる…そして、自分が下になりセリアを自分の身体の上に乗せる…俗に言う騎乗位の態勢をとる。
「ザイン…どうしたの…?」
 初めての痛みに耐えながらセリアが問う…
「ああ…セリアが下のままだと背中が痛いのじゃないかと思って…」
 確かにセリアを組み伏せたままの格好では、押し倒されてるセリアに負担がかかる…
「ザイン…」
 優しい気遣い…それがセリアには嬉しかった…この人と結ばれる喜び…それを感じる…ザインがセリアの太腿を抱えるようにしながら下から突き上げる…セリアの肉体の奥深くにザインのペニスが突き込まれて行く…ザインは、突き入れた物をゆっくりとセリアの中で動かす…その度に身体を引き裂かれるような痛みがセリアを責めさいなむ…セリアのザインと繋がった花園から、血が滴り落ちザインの身体を染めて行く…そしてセリアはザインのたくましい胸に爪を立てながら必死にその痛みに耐える、ザインの胸から幾筋もの血が流れる…
「くうっ、うっくううっ…」
セリアの中で何かが起こる、身体を引き裂かれる痛みは相変わらずある、しかしその奥の方に何か痛みとは別の感覚が湧き上がってくるのが感じられる、それは肉体的な物ではなく心の奥底から湧きあがる、暖かい安らぐような不思議な感覚であった。
「なんて暖かいんだ…」
ザインはセリアの中に挿入した、自分自身を優しく包み込みながら密着してくる肉襞の暖かい感触に思わず声を漏らす、そしてその感触をもっと感じたいと思う、しかし自分の身体の上で爪を立てながら苦痛の呻き声を漏らしながら堪えているセリアの姿を見ると肉体的な感触よりも、そんなセリアのいじらしさの方が愛しくなる、そしてセリアの苦痛を少しでも和らげるために腰の動きを止める。
「どうしたの…ザイン…?」
不意に止まったザインの腰の動き…ザインの胸の上に倒れこんだセリアが尋ねる、ザインはそんなセリアを優しく微笑みながら見る。
「いいや…何でもない…セリアがあんまり痛そうにしているから、俺はこうしてセリアを抱きしめてセリアの暖かさを感じられているだけで充分に満足だから…」
「ザイン…ううん…大丈夫、痛くなんかない…少ししか…だからもっと動いても我慢できると思うの…でも…出来たら優しくして…おねがい…ザイン…」
セリアが恥ずかしそうに言う、ザインはセリアのおでこにくちづけをした後、セリアに促がされるままに再び腰をゆっくりと動かし始める、セリアの中のザイン自身もそれにつけ動き始めセリアの肉壁を刺激する
「くっ」
セリアが小さな声を出す、刺激された肉壁に痛み以外の先程心の奥底で感じられた感覚が確かな肉を持って感じられた。
ザインはそんなセリアの微妙な変化を見逃さなかった、腰の動きが少しだけ荒々しくなる、そしてセリアの表情を身体の変化を読み取ろうとするかのように細心の注意を払いながらセリアの身体を刺激する、深く繋がったセリアを抱き寄せ唇の届く所すべてにキスの雨を降らせ舌全体を使いセリアの身体を舐めまわす、そして乳房を手で覆い揉み上げながら、さらに乳首を刺激し執拗に愛撫を繰り返す。
「あんっ…」
セリアの声に苦痛以外の甘い吐息が洩れる、セリアの中のザインの物が微妙な動きをしながらセリアを内からさらに刺激する、セリアは身体が小さくなり身体のすべてが自分の花園になり、逆に花園が大きくなりセリア自身が花園になったような気がした、そして花園を中心とした感覚がセリアの全身を覆い尽くすかのように広がりセリアを快楽の中に包み込む、いつしかセリアの全身に汗がしっとりと滲み出てくる、そしてセリアの肉壁がザインの物をグイグイと締め付けながら蠢き始める。
「こ、これは…」
今度は逆にザインに激しい快楽の波が押し寄せる、今までリードしていた筈のセリアに今は逆に自分が良いように嬲られている、もはや熱いと言って良いセリアの中で蠢く肉襞の動きに翻弄されながらザインは耐えがたい快楽の波が下半身を貫いて行くのを感じる、セリアがしがみつき腰を密着させた…ザインはセリアを強く抱きしめたままセリアの中に自分の熱い精を放つ、そしてセリアはザインの精と思いを身体の奥深くに優しく受け止めた…

 虫の声が聞こえる…自分の胸の上で安心したように寝息を立てているセリアを見ながらザインは思う、深い充実感とそれと同じくらいの戸惑いを…
「セリア…」
セリアの名前を呼ぶが返事は無い、安心しきったセリアは眠りに落ちている…
「セリア…」
もう一度名を呼び、髪の毛を優しく撫でる、そして思う…この娘を自分の命にかえても…いや、自分が死んだとしても、絶対に守ってやらければならないと…

 次の日、セリアとザインはギルガメッシュの酒場で、他のパーティーのメンバーを集う…テーブルの一つに、セリアとザインは座り室内を見渡す…ドワ―フの戦士、ノームの僧侶や司教、ホビットの盗賊、エルフの魔法使いや戦士…善の戒律の者達もいる、悪の戒律の者達もいる、何の戒律にも所属しない者達もいる…多種多様の種族と職業と戒律の冒険者達がいる
 そこで、彼らはパーティーを組む…前衛はドワ―フ族の中立の戦士ゴステロとバグ―…そして善の戒律の侍のザイン…後衛はエルフ族の中立の戒律の魔法使いシヴァと同じく中立のホビット族の盗賊スラッシュ…そして善の戒律の自分…僧侶のセリア…全員レベル1の初めて迷宮に挑戦する冒険者達であった。

 そして、迷宮の地下1階…ザインとセリア達は、そこで初めての戦闘を体験し…勝利した。


                                       
                                    『 壊滅 』


 六匹のオークとの戦闘…三匹を倒し、残りは逃げ去った。パーティーの被害は、ザインが腕を負傷しただけであり、それもセリアのディオスにより完治している、状況を見るならば、まだ迷宮の探査を続行する事は可能である…
「どうしますか?ザイン…探査を続行しますか?それとも冒険者の宿に戻りますか?」
 シヴァがザインに聞く、シヴァし考えた末にザインは帰還を主張する、ほかの者達もそれに同意する。
「しかし、なんだな…以外と楽な戦闘だったな」
「ああ…そうだな…ザインもそう思わんか?」
 バグ―とゴステロの二人が、先ほどの戦闘の事を話している、話しかけられたザインが振り向きながら言う。
「たまたまだ、何時もこうだとは限らんさ…!!バグ―!ゴステロ!逃げろ!」
 振りかえったザインの眼に、音も無く空間を歪めながら出現してくる巨大な影がうつる、その影が歪めた空間から巨大な足が突き出る…その足先にはゴステロがいた。
「えっ?がっぁ!!」
「なっ?」
 反応する間もなくゴステロが踏み潰される、バグ―は何が起こったのか把握できなかった。今まで隣で話をしていたゴステロが、何か巨大なものに踏み潰された…いや、踏み潰されたと言う事すら理解してなかった。いままでゴステロがいた場所に巨大な物体が突然に出現した…バグーが、最後の瞬間に理解したのはそれだけであった。
 出現した影が手を振り下ろし、呆然としているバグーを虫けらのように弾き飛ばす。バグーは壁に激突する…即死である事は間違ようがなかった。
 突如として出現した影が、ゆっくりとその全身を現す…ゴステロの屍を踏み潰しながら邪悪な瘴気を発散させつつ、影は形を作り上げて行く…凍りついたように、生き残っている者達が、それを凝視する…動けなかった…その影から発散する強烈な邪気…それが、彼らを縛り付ける。
「ザ…ザイ…ザイン」
 震えながらも、セリアがザインにしがみつく…ザインは恐怖に震えるセリアを感じる…
(セリア…)
 セリアを感じた瞬間、ザインは影の呪縛を解き放たれた。ザインはセリアをシヴァの方に突き飛ばしながら、叫ぶ!
「逃げろ…シヴァ…セリアとスラッシュを連れて逃げるんだ!」
 その言葉を聞いた瞬間、シヴァも呪縛が解ける…シヴァは、何も言わずにセリアの腕を掴み、抱え上げるようにして迷宮の出口へと後退して行く、スラッシュもそれに従い後退して行く
「いや…ザイン!ザイン!」
 セリアはザインの名を呼ぶ、ザインはそれに応えることなく正面に出現した影…いや、もはや影ではなく、本来の姿を現した…悪魔王マイルフィクス…を、凝視する。
『クカカカッ…』
 低い…人以外の者が発する声でマイルフィクスが笑う…目の前にいる、ムシケラをどのようにしてやろうかと思いながら…

「ザイン!ザイン!」
 シヴァに抱かかえられるてるセリアはザインの名を呼ぶ…シヴァは理解していた。ザインがセリアを逃がすために残った事を…
 かなり高レベルの悪魔、それが影の正体であろう事は想像がついた…何故?そのような高レベルの悪魔が、本来なら出現する筈の無い迷宮の浅い階に出現したのか?理由はわからない、しかし現実に出現して、戦士のバグーとゴステロを瞬時に葬り去った。
 勝てるはずは無い…逃げ出す事すら至難であったろう…奇跡的に、こうして逃げ出せたのはザインが囮となり、悪魔の引きつけてくれたからである事は確かであった。
「ギャ―――!!」
 前方を走っていたスラッシュが悲鳴を上げ、その場に倒れ込む…暗闇の先に、オークが現れた。
「チィ!」
 オークの数は三匹…先ほどの戦闘時に、逃げ去ったオークであろうか?倒れ込んでいるスラッシュが這いずりながら、こちらに戻ってこようとする、オークの一匹が目ざとく、それを見つけると手に持った錆びた剣をスラッシュに叩き込み止めを刺す。
「キャー―!」
 セリアが悲鳴を上げる、その悲鳴を合図にするかのように戦闘は始る、シヴァがハリトを唱える、生み出された火球がスラッシュに止めを刺したオークを直撃する。
「グギャラーー!」
 悲鳴を上げるオークを無視して他のオークが間合いを詰めて来る、下がりながらシヴァは呪文を唱える…が、間に合わずオークの一撃を食らう、もう一匹が止めとばかりに剣を突き出す。
万事休と思われた時に、セリアが持っていた巻物の魔力を解放する!巻物に封じ込められていた魔力が解放され、襲いかかってきたオークは、他のオークと共に眠りに入り、その場に崩れ落ちる。
「シヴァ…いま、ディオスを…」
 負傷しているシヴァにセリアはディオスを唱える…傷口が癒えて行く…しかし、完全には癒えない…もう1度呪文を唱えようとするが、セリアのマジックポイントは尽きていた。
「シヴァ…一人で地上まで戻れる?」
「セリア…何を…まさか!戻るつもりでは…」
 セリアは何も言わずに、元来た道を引き返す…
「セリア!やめなさい!無駄です!ザインの気持ちを無にするのですか!セリア!」
 シヴァの声を後ろに、セリアは迷宮の闇の中に姿を消して行く…その先に、己の死しかないのを知りつつ……


                                     
                                  『 死 』


 それは、絶対的な恐怖であった…
 目の前に存在するモノに対する、生命の根源から湧きあがる恐怖…逃げ出したかった…悲鳴を上げたかった…この恐怖から逃れられるのなら、己を殺す事すら厭わないと言う思いすら湧いてくる…しかし、それは出来ない…恐怖により支配されかかった精神の中…一人のエルフの少女の姿が思い出される……
「セリア…」
 震える唇にその少女の名を呼ぶ…小さなセリア…可愛いセリア…愛しいセリア…それは彼にとって自分以上の全てであった。
 セリアが逃げ切るまで時間を少しでも稼ぐ…それが今の自分に出来うる事である…目の前の怪物に対して、勝目がないのは明白であった…こうして対峙しているだけでも体力…気力ともに、ゴソリと失われていくのがわかる…
『$&‘()wp≫‘&%〜?¥09・……』
 目の前の怪物が呪文を詠唱し始める…聞き覚えのない呪文…しかし魔法使いの素質を持ちうる侍のザインには、その呪文のもたらす破壊的な威力を理解した…爆炎(ティルトウェイト)…魔法レベル7…最高にして最大の破壊力を持つ死の呪文がゆっくりと詠唱されているのだ…
「くっ…」
 今の自分には爆炎(ティルトウェイト)に耐えうる術は無い…ならば詠唱され切る前に一撃を与え詠唱を中断させねば、確実な死が残されるのみである…死ぬことは覚悟してた…ただセリアを少しでも遠くに逃がすためには時間を稼ぎたかった…恐怖に脅え動かない身体…ザインはセリアの事を考える…抱きしめた華奢なセリアの身体…柔らかな唇…小さな乳房…熱い蜜壷…セリアの声が…セリアの優しい顔が…セリアの唇が自分の名を呼ぶ…
『ザイン…愛している…』
その声が、ザインの身体を動かした。
「チェスタァァーー!」
 裂帛の気合と共にザインは剣を構えてマイルフィクスに突っ込む!
 呪文を詠唱しながら、五月蝿そうにマイルフィクスが、豪腕を横薙ぎにしてザインを跳ね飛ばそうとした…奇跡か?偶然か?ザインは、マイルフィクスの腕をかいくぐり、一撃をマイルフィクスの身体に与える…しかし…もしも、ザインがマスターレベルの侍であったなら…ザインの持つ剣がムラマサブレードであったなら…致命的な一撃をマイルフィクスに与えたかもしれなかった…現実にはレベル1の侍でしかなく…持っている剣もごくありきたりの剣でしかなかった…マイルフィクスの身体にかすり傷程度のダメージしか与えることしか(それすらも奇跡と言えるのだが…)できなかった。

 それは激しい怒りの感情であった…気にもとめていなかった虫ケラに傷を負わされた事が、悪魔王マイルフィクスのプライドを深く傷つけた…怒りは呪文の詠唱を早める…ザインが一激を加え崩れた態勢を立て直し再びマイルフィクスと対峙した瞬間!完成された呪文が解き放たれた!
『爆炎!』
「!」
 鋼鉄すら溶け切る爆炎の中…ザインはセリアの声を聞いたような気がした……

 息を切らしてセリアは駆ける…
(ザイン…ザイン…無事でいて…おねがい!)
 迷宮の回廊を何度も周り、ザインと別れた場所にあと少しまで辿りつく
「ザイーン!」
 セリアはザインの名を叫ぶ…それと、ほとんど同時に強烈な熱気と轟音が巻き起こる。
「きゃっ!」
 爆風の余波がセリアを吹き飛ばす…吹き飛ばされたセリアが、よろめきながら立ちあがる、そしてふらつきながらも、回廊を曲がったセリアの目の前に無惨な光景が剥き出しにされる…ゆらめく熱気の中…そそり立つように存在している悪魔王マイルフィクス…その足元で、ほとんど炭化して黒い塊と化している物体…それは愛する者に対する直感であったのかもしれな…しかし信じたくなかった…その黒い塊がザインの変わり果てた姿である事を…
「ザイン…ザイン…ザインーーー!」
 マイルフィクスの存在など眼中に無かった…ザインに少しでも近寄りたかった。マイルフィクスの前に飛び出すようにして、セリアは急ぎ足でザインの屍に駆けよる…
「ザイン…」
 まだブスブスと燻るザインの屍…溶けた鎧が炭化した肉体に絡み付いている…かろうじて人の形を保っている屍の前にセリアは座りこむ…そんなセリアをマイルフォクスが見下ろす。 
 【オモシロイ…】
 そうマイルフィクスは思った…悪魔族がこの世界に存在する…存在できる理由…それは人の持つ負の感情ゆえと言えた…欲望…恐怖…悲しみ…それらの負の感情が悪魔族の糧と言えた…悪魔王たるマイルフィクスも例外ではない
【コノムスメノカンジョウハ…ビミダ…】
 先ほど屠った男の持っていた感情…恐怖…絶望…それ以上にセリアの哀しみの…愛する者を失った感情は甘美であり美味であった…
『ムスメ…ソノオトコヲイキカエラセタイカ…?』
 セリアの頭に直接マイルフィクスの意思が呼びかける…
「えっ?」
 振り向くセリアの視界にマイルフィクスが立っていた…意図的に自らの身体から湧き出す瘴気を抑え(とは言え、それでも並の人には耐えられない…冒険者でなければ耐える事が不可能なレベルの瘴気は湧き出していたが…)語りかけてくる…


                                      七
                                   『 凌辱 』


「くっ…かはっ!…ああっつぁぁ……」
 地下…迷宮の闇の中…女の喘ぎ声が広がり…そして…闇の中に消えていく…
 地下迷宮の一角…若い…と言うよりも幼いエルフの女が嬲られている…女を嬲っているのは悪魔王マイルフィクスとオークが2匹…ほとんど全裸に引き剥いたエルフの女…セリアの足をマイルフィクスが大きく開かせる…巨大なペニスの先端からこぼれ出した白濁した液がボタボタとセリアの腹の上に落ちていく…
「ああっ…いやっ!…いや…いやぁぁ…」
 腹の上に垂れてくる、おぞましい感触…恐怖と嫌悪…セリアは、うめくような声で哀願の声を漏らしながら弱々しく手を動かして抵抗をする。
「ぐぶぅぅ…るぎゅるるぅ…」
 二匹のオーク達が、そんなセリアの手を抑えこみながら剥き出しになっている薄い乳房に舌を這わせながら噛みつき痛めつけるように嬲る…
「あうっ!」
 苦痛の声を出すセリア…マイルフィクスのペニスがセリアの秘所を嬲る…ズリズリと秘所の上を割目に添いながらペニスが蠢く…節くれだった異形のペニスが刺激を与える…けして快感ではないおぞましい感覚を…
「ザ…イン…」
 セリアが小さな声で愛しい人の名を呼ぶ…嬲られているセリアの視線の先…ほとんど炭化して消し炭と化したザインの屍が転がっている…

『マダタスカル…』
 そうマイルフックスが語る…たとえこのような酷い姿になったとしても、地上のカント寺院にその屍を運び込みさえすれば、蘇生の可能性が残されていると…無論これ以上、屍を傷付けられなければの話しだがと…
セリアに向かって、そのような事を言ったマイルフィクスが、ザインの屍に向け腕を振り下ろそうとする。
「やめてーー!」
 セリアはザインの屍の上に覆い被さる…まだ余熱が残る炭化した屍…素肌に部分に、火傷が生じるが、セリアはザインの屍を守ろうとするかの様に、振り下ろされる腕の下にその身をさらす…セリアの頭上でマイルフィクスの腕が止まる…文字通り悪魔の表情を浮かべながらマイルフィクスが言う。
『シカバネヲ…キズツケラレタクナケレバ…ワレヲウケイレロ…』
と…元来、悪魔族には性欲と言うものがほとんど無い…肉の喜び…肉の歓喜…それをセリアの肉体に求めたわけではない…愛する者を殺した者に犯される屈辱…人以外の者に犯される恐怖…愛しい人の屍の前で犯される哀しみ…それらの負の感情をマイルフィクスは糧として味わいたかったのである…セリアは…拒むことは出来なかった…
「わかり…ました…」
 セリアは…そう頷き…こたえた…

「ひぃっ!」
暗闇の中、背後から覆い被さるように回された手が、腕が、セリアの肉体を服越しにまさぐり…舌が首筋を這う…生臭い息が耳に吹き込まれる………・
『クカカカ…」
 身体を矮小化(とわ言え身長2mはあるが)させたマイルフィクスが、僧衣に身に包んだままのセリアを背後から嬲る…無慈悲に…セリアの反応を楽しむように…セリアの僧衣の胸元に手が忍びこみ、薄く小さな乳房を嬲り揉む…僧衣が少しづつ…引き裂かれていく…
「あっくぅぅ…」
『コイ…』
 マイルフィクスが迷宮の闇に向い声をかける…闇の中から二匹のオークが現れる…その二匹は、先ほど闘ったオークの生き残りであった…ギラついた目…だらしなく、半開きの口から溢れ出している涎…ゴフォゴフォと言う、下卑た声を上げながら、現れたオーク達はセリアに近寄ってくる…
「いひっ!いやっーー!」
 マイルフィクスに、抑え込まれたままのセリアが悲鳴を出す…
『フクヲ…ヒキハガセ…』
マイルフィクスが、オ―ク達に命令を下す…
「グルギュァーーー!!」
オーク達は、歓喜の声を上げてセリアに近寄る…
「あっぁぁ…やぁぁ――!!」
マイルフィクスに捕われたセリアの僧衣に、オーク達の腕が伸びる…泣き叫ぶセリアの僧衣が乱暴に剥ぎ取られ、白い下着が曝される…マイルフィクスの手がセリアの白い下着に伸びていく…長く節くれだった指先が下着越しに秘所をまさぐる。
「いやぁ――っ!やめて!誰か助けて!誰か!」
 セリアの悲鳴がひときわ高く張り上げられる、しかし迷宮の闇に消え去っていくのみである…僧衣が完全に引き裂かれ…僅かな布切れが腕に絡み付くように残されるだけになる…万歳をした格好になったセリアの両腕をオーク達が、そのまま押さえ込む…マイルフィクスの手が剥き出しになっている乳房に伸び乳房を揉み上げた。
「いやぁぁだぁ――!痛い!やめて!」
 まだ芯に硬さの残るセリアの乳房を節くれだった手が容赦なく揉み上げる…ザインとの甘く優しい交感…の、それとは比べるべきもない乱暴な動き…それは、愛撫とか言うものではなく、セリアの乳房を歪に歪ませ、セリアに苦痛と恐怖の悲鳴を上げさす事を目的としてるかのように見え…事実そうであった。
 セリアの乳房を握りつぶすかのように揉み上げながら、マイルフィクスとオーク達は、悲鳴を上げ抵抗をするセリアを嬲る…乳首を摘み上げ捻り引き千切らんばかりに伸ばす…伸ばされた乳首に、マイルフィクスの針のような爪が食い込み、乳首を貫通する…オークがセリアの長い耳に牙を食い込ませ、血を流させる…その度にセリアは苦痛の悲鳴を喉から搾り出し、哀願の声をあげる。
「痛い!痛いよぉ―――!!やだっ!こんなの、やっぱり!いやぁ――――!助けて!助けてザイン――!」
 セリアの悲鳴を耳にしながら、マイルフィクスは歓喜する…苦痛…恐怖…絶望…それらの負の感情が、自分の身体に流れこんできて駆け捲る…歓喜…喜悦…マイルフィクスは、この行為に異常なほど興奮する…凌辱の快感、女を嬲る快感、恐怖と嫌悪…そして涙でグシャグシャになったセリアの顔に、至上の喜びを見つけだす…マイルフィクスの股間に変化が起こる…ムクムクと迫出していく突起物…それがだんだんとペニスの形になっていく…
 セリアの白い下着に手がかかる、すでに僧衣は足に履いているブーツを残して全て剥ぎ取られている…ただ一つ下着だけがセリアの身体に残されていた。
 足をばたつかせてセリアが必死の抵抗をする、しかしその抵抗も無駄であった。引き裂かれたセリアの下着が、足首まで引き下ろされる…引き下ろされた下着がベショリと、足首にからみつく…異形なものに、犯されると言う恐怖のせいだろうか?下着は失禁したセリアの漏らした小水がたっぷりと沁み込んでいた。
 オークがセリアの上半身をガッチリと押さえ込む、身動きを封じられたセリアの上にマイルフィクスが圧し掛かる…セリアの両足をまるで荷物かなにかのように両肩に担ぎ上げたままセリアの唇に舌を這わせる、首筋…鎖骨の窪み…乳房…舌がセリアの身体を弄る、乳房に這わせた舌で乳首を苛む、勃起した乳首を舌先で嬲りながら強く噛む!
「イヒィ―――!」
 セリアに甲高い悲鳴を上げさせながら、乳首から滴り零れた血を舌で舐めとる、舌はさらに下腹部に降りていき淡い茂みが香る秘所の割れ目に差し込まれた、ビクン!とセリアの身体が爆ぜる!、しかしオーク達に押さえつけられた身体はビクリとも動かない、セリアにできる抵抗は泣き叫ぶ事だけであった。
「いやぁぁ……もう…もう!やめて!だれか!誰か!助けて―――!」 
 形作られたマイルフィクスのペニスが、セリアの秘所の入口を探すかのように茂みに中を突つきまわす…ブリュン!といきり立っている巨大なペニスの先端から、勢いよく溢れ出した白濁液が、勢いよくセリアの腹から上半身に向けて飛び散る…
「うぅぅ…」
 セリアは腰を必死に動かし、ペニスから逃れようとする…しかし、それは儚い抵抗でしかなかった。
 やがてペニスがセリアの秘所の割目を探しあてる…秘所の入口に押し当てられたペニスが、セリアの美肉を抉るかのようにズブズブと沈み込んでいく…
「うぎゃぁぁぁ―――――!」
 セリアは叫ぶ、身体を引き裂かれる激痛!ブチブチ…と引き裂かれて行く秘部…膣一杯に捻じ込まれていく巨大なペニス…
「あ…がぁぁ…ぐぁ!…」
 あまりの激痛は、セリアの叫び声すら押し止める…眼鏡ごしに見開かれた瞳が激痛に血走る…大きく開け広げられた口から舌がとびだす…ガクガクと身体が震えるように痙攣を引き起こす…
 両足を抱えこんだマイルフィクスが腰を乱暴に動かし、さらに股間を引裂いていく…ぶじゅぶじゅと血が結合部から溢れ出す…その紅い血がやがて白く濁った液と混じり合いながら溢れ出す…マイルフィクスが打ち震えるように身体を身悶えさせる…自分の体内に注ぎこまれて行く、おぞましい感触…セリアの意識は暗黒の中に飲みこまれていった……


 セリアをペニスに突き刺したままマイルフィクスは立ちあがる…マイルフィクスは知る…結界が戻りつつある事を…日の合、月の合、星の合…そして、天の合、地の合、刻の合…その他、幾つもの合が複雑に絡み合い、重なり合い、万分の壱…いや、億分の壱の偶然により、自由に迷宮をさ迷う事の出来た時が終りに近づきつつある事に…
 ズルリ…セリアの身体からペニスが引きぬかれる…ドサリ…とセリアが迷宮の床に落とされる…
「う…くぅぅ…ザイ…ン」
 落とされた衝撃でセリアが意識を取り戻す…目の前にザインの屍があるのが見て取れる…
(ザイン…良かった…かならず…蘇生させてあげるから…)
 苦しい意識の下…セリアはザインの黒焦げに炭化している屍を見て思う…しかし、次の瞬間!ザインの屍の上に、もとのサイズに戻ったマイルフィクスの巨大な足が踏み下ろされ、屍は完全に粉砕された。
「ザインーー!」
 セリアの悲痛な叫び声が迷宮に響く…這いずるようにセリアはザインの屍に近寄る…すでに蘇生不可能なまでに破壊され尽くしたザインの屍の残骸があるだけであった…
「なぜ…なぜ…なぜぇぇ―――!!」
 セリアの叫びを聞きながらマイルフィクスは笑う…最後の希望を目の前で踏み砕かれたセリアの負の感情…これが、彼が欲していた感情であった…彼はセリアの感情を充分に貪る…そして呪文を詠唱した…
『…マロール…』
 マイルフィクスがその場から消え去る…後にはセリアと2匹のオークが残されるのみである…オークがセリアに近寄る…オーク達は飢えていた…目の前のご馳走を見逃す気も無かった…しかし…その前にするべき事があった…


                                      
                                  『 救助 』


 痛む身体を引きずりながら彼…シヴァはスラッシュの屍を背負いながら迷宮の闇の中を出口に向い必死に走る…少しでも早くハイレベルの冒険者達を引き連れザインを…セリアを…救い出さなければと言う思いが、痛む身体を鞭打たせ歩かせる…仮に間に合わず二人が死んでいたとしても、屍さえ回収できれば、背負っているスラッシュのように蘇生できる筈であった…それでも少しでも早い方が、蘇生の可能性は高くなる…あと少しで出口…そこま出来たときにシヴァはコボルトの集団と遭遇してしまった。
「ちっ!」
 すでに魔力は尽きている…傷を負ったこの身体では逃げる事も出来ない…助かる術はもはや無かった…
「すみませんね…みんな…」
 シヴァは自分の事よりも助けられなかった仲間に謝る…コボルトの集団が近づいてくる…壁にもたれかかりながらシヴァは、せめて苦しまないように一撃で殺してくれる事を願いつつ…目を閉じた…

 温かなぬくもりが身体の芯から湧きあがる…気がついたシヴァの目の前にノームの僧侶とおぼしき人が自分に、掌をかざしながら呪文を詠唱していた。
 シヴァは辺りを見まわす…コボルトの切り裂かれ…焼かれた屍が散乱しているのに気がつく…
「これは…」
 ずい…と一人の人間の戦士が言う
「若いの、大丈夫か?」
 歴戦の兵…まさにそう言える男であった。
 シヴァは大急ぎで事情を話す…冒険者達はシヴァの先導により、迷宮の奥へと救出に向った…



 二匹のオークがセリアを嬲り犯している…もしも、オーク達が住む地下坑道を見る機会があるのなら気がつくであろう…その住居の奥深くに捕らわれている娘達がいる事に…エルフ…ホビット…人間…ノーム…ドワーフ以外の全ての人種の娘が捕らわれ…肉奴隷として…そして、緊急時の食料として飼われている娘達を… 

 二匹のオークはセリアの口と尻の穴を同時に犯していた…マイルフィクスの巨大なペニスにより引き裂かれたヴァギナは、すでに性器としての役割は果たしていなかった…そして、ザインを永遠に無くしたショックは、セリアに生きる希望を失なわさせている…
 オーク達の命ずるまま(無論、声にだして命令するわけではないが…)突き出されたペニスに舌を這わせ…オークの尻の穴を舐め…ペニスを受け入れていた…
 セリアの尻の穴を嬲り犯していたオークが、口を犯しているオークに眼で合図をする…二匹のオークは頷きあい…手に錆びた剣を握り締め振り上げる…その下には、オークに犯されているセリアの姿がある…
 オーク達が、剣をセリアの体の上に振り下ろそうとした瞬間!
<ツザリク!>
 蒼い電光が闇を引裂き、尻を犯していたオークを直撃する。
「グギャッ!」
 短い悲鳴を上げオークは絶命する、口を犯していたオークが慌てて振り上げた剣を構えなおして、態勢を整えようとした…が遅すぎた。剛風が近づいたかと思った瞬間!オークは首を跳ね飛ばされた…むろん首を跳ね飛ばしたのは戦士であった。
「セリア!」
 倒れ伏すセリアにシヴァが駆け寄る…
「シ…バァ…?」
 シヴァと同時に駆け寄ったノームの僧侶がマディを唱える…見る見るうちにセリアの身体の傷は癒される…そう…身体の傷は…


シャン!
錫杖の音が玄室に響く…
「以上が、マイルフィクスめの行動でございます」
一メートルにも満たない、小柄な身体を更に縮み込ませながら、フラックがワードナーとヴァンパイア、ロードに報告をする…
「くくくっ…」
報告を聞くワードナーが、低い笑い声を漏らす…
「主よ…」
傍らに座する、ヴァンパイア・ロードが、驚きを含んだ声でワードナーを見る…
「面白い…それで、そのパーティーは全滅をしたのでないな…」
「はっ!」
「まことに面白い…一つの運命が、動き出したようだ…さて…この先、どのような運命を見させてくれるか…」
低い笑い声を出しつづけるワードナー…その、心の奥底に秘められた考えを垣間見る事は、第一の従者たるヴァンパイア・ロードには無論…当のワードナー自身すらも、はっきりと見えていなかったのかもしれない…


                                  『 余談 』


「本当に一人で良いのですか?」
「俺たちも着いて行った方がいいんじゃないか?」
 エルフの魔法使い…とホビットのニンジャが、鎧に身を固めたエルフの女侍に言う…しかし、エルフの女侍は面を上げて応える。
「いいえ…これは私の問題なの…いままで…ありがとう…シヴァ…スラッシュ…」

 彼女は知っていた…シヴァが自分にどのような思いを抱いているか…知っていてもそれに応える事は出来なかった…あの日から…ザインを殺した悪魔王…マイルフィクを倒すためだけに、自分は生きてきた。いや、そうしなければ生きてはいられなかった言える、ザインを失ったセリア、そのセリアに生きる希望をもたらしたのは、皮肉な事に悪魔王マイルフィクスに対する憎悪であった。無惨に殺されザインの仇を討つと言う復讐心がセリアに生きる気力与えのだ。
 それから二年、生き残った仲間のシヴァと蘇生できたスラッシュや他の仲間達と共に、迷宮の闇の中を這いずる、牙や爪で引き裂かれ、刃物で切り裂かれ、何度も死の縁へと足を踏み入れる、時には首を切り落とされ、魔法で身体を焼き尽くされながら死に、そして生きかえり…レベルを上げていく、職業も侍へと転職をした…そして妖刀ムラマサ・ブレードすらセリアは手にいれた…
「セリア、生きて帰ってきてください…ザインもそれを望んでいたと思います…そして私も…」
 苦い思いがある、ザインを失った事により、生きる気力を失ったセリア…身体の傷が癒えたとしても、生きる希望を失ってしまえば、それは死と同じ事といえた。
 シヴァは、決してプラスの方向に向かないであろうと、確信しながらもセリアに言う…
『ザインの仇をとるのです…』と…
 はたして、本当のセリアにザインの仇をとれるとは、そう言った自分自身信じていなかった。
 ただ、生きる希望を持たすための方便であったのだ…しかし、あの日から二年の歳月が流れ、マスターレベルの侍に転職したセリアが、目の前に立っている…
 「シヴァ…ありがとう…」
 セリアはシヴァを抱きしめる…シヴァもセリアを抱きしめようとするが…手が途中で止まった。
 この二年と言う歳月は、シヴァとセリアに新たな絆を結び付けていた、そして肉体関係もすでに存在した。
 シヴァは思う、自分は無力だと…ついにセリアをザインの呪縛から解放してあげる事が出来なかったと、セリアと身体を重ね愛を確かめ合った時ですら、セリアの中にザインが存在してるのを感じていた。
そして、それがいま自分からセリアを奪って行こうとしている、このまま抱き締め返してセリアを押し留めたいという気持ちがある、だがそれは出来ない…だからシヴァは、セリアを抱き返す事無く、閉じかけた腕を恐るべき意思の力で引き戻す…
「シヴァ…ごめんなさい…スラッシュも…」
 抱き返すことの無かったシヴァの行動に、その思いを知るセリア、そして面を付け直した女侍セリアは扉に向かう…地下迷宮10階…最下層へと続くシュートの前にセリアは立つ…この扉の向こうにいる悪魔王…マイルフィクを完全に葬りさる…その事を誓い…セリアは一人、シュートを滑り降りていく……




                                              了





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