『 俺の嫁さん 』


「なあ、船長…どうせ捨てるんなら、俺にこの女をくれないか?」
いま正に、シーラを海に投げ捨てようとした瞬間に、シーラを抱えていた男の一人が言う。
「なんだって、なに仏心を起こしてるんだ、ここで始末しとかないと拙い事になるのは、わかってるだろうに!」
それでも男は、シーラを抱えている手を放さずに言う。
「今回の漁の取り分、俺の分要らないから……」
男の言葉と、シーラを掴んでいる手を放そうとしない態度に、船長は痺れを切らして怒鳴りつける。
「馬鹿野郎!どうやって港の検閲や入国を誤魔化すんだ、魚じゃないんだぞ」
「それは、俺に考えあるんだ、だから頼むよ船長…」
男のしつこいほどの頼みに、船長は折れて、その考えを聞く事にした…

深夜、一艘の船が港に入ってくる、灯りを落として目立たぬようにしながら、そして港の一角に止まると獲物である、魚を手早く下ろし始める、港の連中には鼻薬を聞かせてあるが、手早く作業をしなければ拙い事にかわりはない、下ろされて行く魚が満載された箱が、横付けされているトラックへと運び込まれていく……
詰め込まれた魚を積んだトラックが、港から少し離れた家の前に止まり、魚が詰まった箱を一つと男を下ろす。
下ろされた男は、船上でシーラをくれと言った男であった、そして一緒に下ろされた魚が詰まっている箱、その箱の中には魚の代わりに、全裸のまま縛られたシーラが詰め込まれているのであった。
男の自宅が、たまたま港の近くにあった事、男が自分の取り分を諦めて、その分の魚を捨て去ったことにより、本来なら魚が詰め込まれている空間にシーラを押し込み事が出来、自宅まで誰に知られる事無く、シーラを運び込む事に成功したのである。
無論の事、幾つかの幸運が重なった事情もある、港で見咎められる事が無かった事、トラックを運転している男に対して渡した鼻薬が効いた事、何よりは男が一人暮らしであった事が、最大の要因だったのかも知れない、とにかく男はシーラを自分の家に連れ込む事に成功したのであった。

全裸のまま猿轡を噛まされ、手足を縛られた格好で、大量の魚の中に詰め込まれている箱の中から、シーラを引き出した男が最初にした事は、シーラを犯す事であった。
染み付いている魚の臭いや、ヌタヌタした滑りも関係ない、ついに手に入れた自分の女を犯す事を男は最優先させたのである。
実はこの男、船の中で最後までシーラの胎内に、自分の精を放つ事が出来なかった。
男はシーラ目掛けて5回発射しながら、その肉を貫く事が適わなかった、その未練があったからこそ男は、シーラを海へ帰す時に船長に頼み込んだのである、この女をくれと…

男は、シーラを押し倒し犯し始める、猿轡を外すのも面倒くさく、手足の縛っている紐を外すのも、時間が惜しかった。
魚の滑りがちょうど具合が良かった、乳房を揉む、愛撫をする…そのような面倒な事はせずに、男はシーラの股間へ自分の男根を一気に突き刺す。
「ひぃぐっ!」
猿轡を噛まされたままのシーラが、悲鳴を上げる…すでに、船上で男達に散々嬲り犯され続けいたが、それでもいきなりの挿入は、苦痛以外の何ものでもなかった。
男は腰を振り、挿入した男根を出し入れさせながら呻くように言う。
「ああ…俺の嫁さんだ、俺だけの穴なんだ…感じるだろ、気持ちいいんだろ…俺の嫁さん…」
伸し掛かる男は、手を伸ばし乳房を握り締める、歪む乳房と押しつぶされる乳首、魚の滑りが身体に染み込んで行く
「ぐぅぅつ!ひぐっ!」
くぐもった声で喘ぐシーラ、べとついた髪が身体に張り付き、絡みついていた魚が、髪の間から下へ落ちる、そんな充満する魚の臭いの中で、シーラ・ラパーナ…元・ナの国の王女にして、バイストン・ウェルの聖女王は、一匹の牝となり、自分を犯し続ける男に、その肉体を与え続ける事になったのである。

あの最終決戦が行われてから、数ヶ月の月日が経っていた。
あの凄まじいまでの戦火の痕も、ようやくに癒え始めた昨今では、話題になる事も少なくなり、TVやラジオのニュースも別の話題が主流を占めるようになっている。
そんな中、とある港近くの地方都市の一軒家の中で、大きなお腹を揺らしながら、シーラは男の責めを受け続けていた。
腹の子供が、果たしてこの男の子供なのかも知れないが、船中で犯された時に出来た子供なのかも知れない、それを知っている男は口汚く罵りながら、シーラを犯し続ける…
『この陰売が!これやいったい誰のガキだ、どうせ宇宙船の中でも男達の相手をしてたんだろ、この牝犬が!』
その言葉に反論するだけの気力は、既に無くなっている…今のシーラは、男の責めを受けながら、腹の子を庇う毎日を過ごしていた。
何ヶ月か前までは、この様な日々が永遠に続くのだろうかと、思う事もあったが、今のシーラはすべてを諦める事に成功していた…それが、唯一の幸福に繋がる術なのだからと……
この先、死が訪れ、その負債のすべてを返し終えた時にシーラの魂は、バイストン・ウェルへと帰還することが出来るのであった。
それが何時になるかは、シーラ自身すら知らぬ未来の事であったが……


                                                 終

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