第 参 章


                         
『 陵辱の嵐 』


                              
T


 祭囃子も祭の騒がしさも聞こえない、ただ虫の音だけが微かに聞こえる。そんな静かで人気の無い神社の裏側まで涙を堪えながら小夜は走って来る、そして小夜はそこにひっそりと立つ神木にすがるかのようにして声を殺して泣きはじめた。
「花山さん……」
 想い人の名を口に出して言う、彼の優しい笑顔が思い浮かぶ、しかしその笑顔は自分のためではなく、他の女性に向けられると思うと涙がまた零れ落ち頬を濡らす。
 ガサッ!
 後ろで草が揺れる音がした。しかし小夜は気がつかない、ただ神木に顔を埋めて泣き続けていた。
 不意にそんな小夜の肩に手が乗せられて後方に引き倒される。
「キャッ!」
 小さな悲鳴をあげて、草の上に引き倒された小夜は一瞬何が起きたのか理解できなかった。そんな小夜に二人の男達が乱暴に身体を押さえつけのしかかって来る。
「えっ? なに? あっ! いや、何を、何をするんですか! 離してください!」
 押さえつけられた身体を自由にしようと、小夜は手足をばたつかせ抵抗する。履いていた小さな下駄が跳ね跳び、浴衣の裾が肌蹴て白い太股が露になるが、そんな小夜の姿を男達はニヤニヤと見ながら冷ややかに言う。
「クククッ、無駄だよお嬢ちゃんあんたが悪いんだぜ、こんな所にふらふらと一人で来た」
「そうですよ、まるで『どうぞ、私を自由に犯して下さい』とでも言いながら、僕達の事を誘っている様なものですからね」
「そうそう、だから俺達が親切でこうして、犯ってやろうと言うのさ、上も下も、別の穴も、俺たちと一緒にたっぷりと楽しもうぜ眼鏡のカワイイ・お・嬢・ちゃ・ん」
 男達はそう言うなり小夜の浴衣の帯に手を掛け解きはじめる。
「あっ、だめ! 止めてくださいお願いします、やめて!」
 抗いの声を出し、解かれようとする帯へと手を伸ばすが、その手は乱暴に跳ね飛ばされ、解かれた帯を強く引っ張られる。
「きゃぁぁ!」
 強く引かれた帯、その勢いで小夜の体がグルンッ! と草の上で回転し、その拍子に帯が解かれた浴衣の前が大きく開き、その開かれた浴衣の間から淡いピンクのブラジャーが剥き出しになる。
「ひぃ、ひいやぁぁ! あぐぅ!」
 小夜は肌蹴た浴衣のまえを両腕で押さえ、そのまま男達の間から逃げ出そうとしたが、逃げ出そうとした小夜の後髪を男達は掴み、強引に引き戻す。ビチブチと髪が千切れ抜け、男の手の中に何本もの小夜の髪が残るが、男はそれに構わず草の上に再び小夜の体を引き倒し、その上で男達は解いた浴衣の帯を使い、小夜の両腕を後ろ手に素早く縛り上げた。
「いやっ! やめてぇぇーっ!」
 肌蹴ている浴衣の前が、男の手によって更に大きく押し広げられる。剥き出しにされたブラジャーが男達の目に曝される。
「くぅ、どうしてこんな事をするんですか、やめてください、お願いですからやめてください、どうして、どうしてなんですか!」
 抵抗の叫びを出しつ続ける小夜、その小夜に向けて男達の一人がポケットから何かを取り出し近づける。
「ひぃ!」
 男がポケットから取り出したものは、刃物であった……俗にい言う所のバタフライナイフと言う代物であったが、小夜にはそれがなんと言う種類のナイフなのかは解らない、ただ自分に向けられた刃物の冷たい存在に小さな悲鳴を上げた。
「静かにな、静かにしてないと手元が狂っちまうからな、そうなったらおまえが悪いんだぜ?」
 剥き出しとなっている小夜のピンクのブラジャー、その肩のストラップが断ち切られる……最初は右肩のストラップ……次は左肩のストラップ……
「あうぅぅ……ひぃぐぅ!」
 ブツンッ! とストラップが切られる度に、小夜は小さな悲鳴を……恐怖と羞恥が混ぜ合わされた小さな悲鳴を上げる。
 両肩のストラップを切断したナイフの刃先が、ブラジャーのカップを繋いでいる布地の中心部分に差し込まれる。
「あぁぁ……あうぅぅ……やぁぁ、やめて……お願いですから、やめてください……いやぁぁ、あひぃぃ!」
 やめてと哀願を繰り返す小夜、だが差し込まれたナイフの刃先が、軽く小夜の肌へと押し当てられると、その哀願は小さな悲鳴となり中断させられる。そして次の瞬間に、カップを繋いでいた部分の布地は切断され、小さく弾ける様にブラジャーは……正確には、そのブラジャーであった残骸は、小夜の乳房から弾け飛び、小ぶりだが柔かさと充分な弾力を秘めた白い乳房が、男達の眼前に晒される。
「あっ! だめぇぇー!」
 残骸と化したブラジャーが、男の手によって素早く抜き取られる。男は引き抜いたブラジャーの臭いをかぎながら言う。
「んーっ、いい臭いだ。胸のサイズは、見た所……AカップかBカップくらいと言う所かな? この間犯った、桜井とか言う女みたいに、Dカップ級のでかいのもいいが、こうゆう小さいのもそれなりに楽しめそうだな」
 男が臭いを嗅いでいたブラジャーをポケットの中に仕舞いこむ、そして両腕を後手に縛られた事により、ピンと張り詰めた剥き出しの白く小ぶりな乳房に男の手が伸ばされ、弄る様に揉み上げられ、小夜に悲鳴を上げさせる。
「あぁぁっ! 痛いっ、いやぁぁ、いや、痛いんですぅ、胸を……胸を揉まないでぇ、やめて下さい、やぁぁぁ――!」
 力任せに胸の膨らみが握り込まれ歪に変形する。胸の激しい痛みに悲鳴を上げる小夜の前に別の男が近づくと、小さな秋桜の花びらのような唇を無理やりにうばう。
「んっうぁぅっ! んっむむぅぅ……」
 小夜にとって、それが初めてのキスであった……密かに夢見、想像していたのとまるで違う無残なファーストキッス……
 男の舌が唇を割り、閉じ合わされたままの歯茎と言わず唇の裏と言わず舐めまわす。小夜は歯を噛み締め男の舌の侵入を必死に拒む、その時に小夜の乳房を嬲る様に揉んでいた別の男の手が、刺激によりぷっくりと膨らんで来た敏感な薄いピンク色の乳首を二本の指で摘み軽く捩じ上げる。
「あひっ! んんっぐぅぅ……」
 小夜はその痛みのため、思わず悲鳴を上げ口を開く、男はそれを待っていたかのように、舌を口の奥深くに侵入させる。男の舌が小夜の舌を舐るようにして小さな唇を犯していく、生暖かくあつぼったい男の舌が、小夜の怯える舌にからみつき吸った。嫌らしく、荒々しく貪る様に、小夜の意識は唇をふさがれたせいか、だんだんと息苦しくなり朦朧となってきて、そして苦しげな鳴咽を上げる。
「うぐあぅぅっ……あぐぅ……」
 不意に男の唇が小夜の唇から離れる。男と小夜の唇の間に涎が細長く糸をひいて行く……
「あぶぅ、げぇふう! ぐぅぅ……げぇほふぅ!」
 苦しげな小夜の苦痛に満ちた咽る声、げふぅ、げふぅと荒い息を吐き出しながら、苦しげに大きく肩で息をし続ける小夜の前に男が立ち言う。
「口の準備運動は終ったかい、終ったなら今度はこっちの方の準備運動に付き合ってもらおうかな? お嬢ちゃん」
 男はそう言うとベルトを外しズボンを履いている下着ごとずり降ろすと、小夜の目の前に自分のペニスを曝け出す。
「ひぃっ!」
 グロテスクだった……今までの人生に置いて、見た事も無いグロテスクな存在……それがいま自分の眼前に曝されている。
「いっいやぁぁ、いやぁです! なにを、私になにをさせる気なんですか、いったい私に、これ以上なにをする気なんです!」
 あまりの恐怖と混乱に、眼前に曝され続ける物体から目をそらす事も出来ず、小夜は悲鳴のような叫びを吐き出すが、それに対してペニスをさらけ出し続けている男は、平然とした口調で……さも既に決定した事のように答えた。
「なぁ〜に、お嬢ちゃんのかわいいお口で、寂しがっているこいつを慰めてやってほしいのさ、難しい事なんかないよ、そうアイスキャンディーを舐める要領で舐めればいいのさ、そうすればこいつも喜んで、甘くて美味しいとっても濃くて味わい深い濃縮カルピスの様なものを、お嬢ちゃんにタップリと飲ませてあげると思うぜ」
 男はそう言うと小夜の頭を押さえつける。
「いやぁぁ――、いやです! そんな事、私には出来ません、出来ません、離してください、お願い、お願いしますから! 手をはなして下さい、いやぁぁ、よしてぇぇぇ――!」
 抗い、哀願する小夜の言葉を無視と言うよりは、逆にその抗いと哀願の声に興奮しながら男は、自分のペニスを小夜の小さな唇に近づけて行く、小夜はイヤイヤをするように顔を左右に振る。髪を結んでいた藍色のリボンの片方がほどけ落ち、振り乱れた髪が激しく揺れ動く、小夜は男のペニスから顔を必死に叛けようとするが、頭を男に押さつけられておりどうする事も出来ない、そんな小夜の唇にビクビクと動く男のペニスがジリジリと迫る。
「はぁんっ! んぅぐぅふぐぅ――っ! んっがぁぶぅあぁぁ、んっん――!」
 小夜は眼を閉じ、唇を堅く噛み締め、男の侵入を拒む、しかし別の男の手が小夜のもはや完全に勃起した両の乳首を今度は強く捻じるように摘み上げた。
「あっ、いっ痛い! ひぃぶぅぐぅあんっあっんぐぅ――……」
 痛みに思わず声を上げる小夜、男はそれを待っていたかのように自分のペニスを小夜の口中に突き入れる。そして男は頭をがっしりと鷲づかみにしたまま、前後に腰を揺すり始める。
「はぁぶぅ、ううっぶぅぐっぁぁっっ……ぐぅぶぁぁひぃばぁ、んっっ……ぶぅんっんぁぁあっ、んっぐぅぅ……」
 小夜の口の中で男のペニスが更に大きく膨らみ、喉の奥に先端がゴツゴツとあたる。小夜の柔かく、暖かな舌が硬く膨らんだ男のペニスの下で蠢き続ける。
「噛むんじゃねえぞ、もし噛んでみろ、手前の乳首を両方とも噛み千切って手前に食わしてやるからな、知ってるか?女の乳首はなコリコリしていて美味いんだぞ、一度食ったら止められないくらいにな、クククッ……」
 色白なだけに目立つ小夜の紅い唇に男の浅黒いペニスが浅く深く突き込まれる。そして、そのたびに小夜の苦しげにくぐもった呻き息が洩れる。
「んっ、ふぁっ! むむぅんぁっ、んあぁぁっ!」
 そんな、小夜の恐怖と恥辱と屈辱の三つの感情が入り混じった表情をニヤニヤと、見下ろしながら男はさらにからかうかの様な口調で言う。
「ほら、もっと舌を使うんだよ、お前、好きな男の一人くらい居るんだろ? そいつのオチンチンだとでも思ってよ、気分を出して上手に舌を絡みつかせる様にしてしゃぶるんだよ、んっよ〜し、そうだ……上手だぞ……」
 そう言うと男は、自分の男根を小夜の口中奥深く突き入れては、唇近くまで引き抜き、そしてまた喉の奥深く突き入れると言う行為を繰り返す、その度に小夜の舌が男根を巻き込み絡みつく、やがて小夜の柔かい唇と滑るような暖かい舌の感触を存分に犯し楽しんだあげく、男は小夜の喉の奥深くに己の欲望の塊を大量に注ぎ込む。


                              
U


「んごぉぅぁ!」
 男のペニスによってふさがれている唇の隙間から、呻くような小夜の声が漏れだす。そして男は、小夜の口からペニスをゆっくりと引き抜く、小夜の柔らかく暖かな唇の余韻を楽しむかのように、そして小夜を焦らすかのようにしながら、男のペニスが引き抜かれた小夜の唇から、白濁した半透明の物が涎の様にボトボトと顎をつたいこぼれ落ちる。男はそんな小夜の頤にグイッと手をあてがい、自分の方に顔を強引に向けさせながら言った。
「飲めよ」
 最初、男の言っている意味が解らなかった。口を半開きにさせたまま、呆けた様な表情を見せる小夜に男は、ニヤニヤと笑いながら続けて言う。
「こぼさずに、綺麗に全部飲み込めって言ってるんだよ、俺様のと〜ても濃くて美味しい愛情の塊をな!」
 小夜は男達に突然に襲われた事による恐怖、浴衣を引き剥がされ半裸にされた事による羞恥心、唇を、ファーストキスを奪われた喪失感、そして強引に口による奉仕を強要させられた屈辱感によっての、あまりのショックに、もはや男達に抵抗する気力は尽きかけていた。しかし男から浴びせられた言葉を聞いた時、小夜の心の中に恐怖心や羞恥心、ましてや屈辱感とは別の思いが、湧きあがってくるのがはっきりと感じられた。
(なぜ……どうして私がこんな酷い目に遭わなければならないの? どうして……なぜ私がこんな男達に乱暴されなくてはいけないの?)
 小夜が本来持ち得なかった感情……怒りと憎悪、それが心の中に湧き立って来る。小夜は男を睨みつけると、口の中に残っていた男の残滓と唾の塊を男の顔に吐きつける。
「うっ!」
 最初、男は小夜がなにをしたのか解らなかった。ただ泣叫び助けを求めながら哀願を繰り返すだけであった無力な小娘が、自分に対してこのような行動を取るとは、考えてもいなかったのである。
 顔に吐きつけられた唾に手をやり、そしてその自分の精液と小夜の唾液の混合物、そのねっとりとした感触を確かめた次の瞬間、理不尽なまでの怒りを小夜に叩き付ける。
「この女、優しく言ってりゃ、つけあがりやがってよ! 自分がどうゆう立場なのか今からタップリと教えてやろうじゃねえか! 手前の身体にな!」
 男の平手が小夜の頬に炸裂する、草原の上に小夜が倒れ込む、その拍子に小夜の掛けていた眼鏡が外れ落ちる。
「これでわかったろ? 手前の立場がな! さあ、お前が吐き出した唾をお前の舌で綺麗にしてもらおうか、この雌豚が!」
 男が小夜の唾のついた頬を小夜の口に近づける、唇の端から血を滲ませながら小夜が近づけられた頬に口を近づける。
「そうだ、最初から素直にしとけば……ぎゃっ!」
 男が自分の頬を押さえて仰け反る。頬には小夜の綺麗な歯形が血を滲ませて並んでいた。
 男達を睨み付けながら小夜が叫ぶ。
「誰が、誰が! 貴方達みたいな人達の言いなりになるもんですか!」
 頬を噛まれた男が目に狂気の色を浮かべながら小夜に近づいて行く、手には先ほど小夜のブラジャーを切り裂いたナイフが再び握られている。
「死にたいらしいな、よ〜し、最後の質問をしてやる、手前はナイフで体をえぐられて殺されるのと、首を素手で縊り殺されるのとどちらが良い? 最後の慈悲だ選ばしてやるよ!」
 男の質問に小夜は答えず、男の方を睨み付けたまま再び唾を吐きつける。男はこの事を予期していたのか、こんどはヒョイと唾を交すとナイフを小夜に突き付ける。
「そうか、お嬢さんはナイフで殺して欲しいらしいな、お望みどおりに殺してやるよ」
 男はそう言うと小夜の喉笛にナイフをあてがう。
「楽に死ねると思うなよ、耳を削ぎ落として、鼻を切り裂き、目玉を抉って、乳首を希望道理に食らわしてやるよ、そして最後に此所に突き刺して、子宮を抉り取ってやるから楽しみにしときな、この腐れ淫売が!」
 肌に……自分の喉へと当てられたナイフの冷たくも固い感触、その感触が小夜の感情の中に恐怖を蘇らせ、再び小夜の体と心が恐怖に絡め取られてしまう。
「あっ、いや、やめ……て、いやぁ……」
 男の言った個所をゆっくりナイフが移動していく、耳、鼻、乳首、そしてショーツの上から、小夜の敏感な場所を嬲るかのようにナイフが蠢き小夜を恐怖に落とし込む、カチカチと歯を鳴らし小夜が嫌々をする。握られたナイフが小夜の口の中に差し込まれ背の部分、刃のない方で小夜の唇を内側から引っ張る、やがてゆっくりと唾液のついたナイフを小夜の口から引き抜くと、男は小夜の顔にナイフを近づけて行く


                              
V


「もう、それくらいで良いでしょう」
 不意に今まで小夜が嬲られる様子を黙って見ていた男が、ナイフで小夜を嬲っていた男の手からナイフを器用に、手品か何かの様にスッと取り上げて言う。
「なんだ、邪魔をする気かよ拓哉!」
 ナイフを取り上げられた男が、ナイフを取り上げた男に怒気混じりの声を上げ文句を言う。
 手にしたナイフを弄ぶようにクルクル舞わしながら、拓哉と呼ばれた男が平然と喋る。
「ここで暴力や恐怖で言う事を聞かすよりも、ましてや殺すなんて、勿体無いじゃないですか? もったいないお化けが出てきますよ、そう僕の家に連れて行きましょう、僕にいい考えがあります」
「拓哉の家?」
「ええっ、そう言えば僕の家に来るのは君達も初めてでしたね、安心して下さい彼女を存分に楽しむ部屋や道具くらい充分ありますすし、後始末をする場所や道具のそろっていますから、それにただ殺すだけなんて本当に勿体無い、そうでしょ?」
 そう言うと、拓哉はもう一人の男に同意を求める。そして小夜を捕まえたままの男に、ポケットから車の鍵を出し片目をつぶって見せる。
「拓哉の家でか、そうだなたまにはちゃんとしたベッドの上で、このクソ生意気な女を思いっきり犯すのも良いかもな」
 下卑た笑いを浮かべて、男は捕まえていた小夜を草の上に叩き付ける様に乱暴に放り出すと、鍵を受け取り車を取りに行く、後に残った二人の男が倒れている小夜を見下ろしている。
「わ、私を何処に連れてく気なんですか、もう離して下さい、今なら誰にも言いませんから、お願いします。助けて……」
 二人の男のうち、一人は哀願する小夜をさも楽しそうに、拓哉と呼ばれた男は、哀れむような目で小夜を見ながら言う。
「さてと、どうゆう具合に楽しませてもらおうかな、お嬢ちゃんは処女なんだろ? なぁ〜に、痛いのは最初だけさ、最後には自分から俺様の物をしゃぶりだすように調教してやるぜ、楽しみにしてなお嬢ちゃん」
「可哀そうに、僕が貴方を気に入らなければ良かったのに、可哀そうですが、僕の家招待されるからには覚悟して下さい、そう……いろんな意味でね」
 男の下品な問いかけに小夜は耳を押さえたくなる。しかしそれよりも拓哉と呼ばれた男の口調に、なにか異質な尋常ではない物を感じた小夜が震える声で男達に聞く。
「あなた達、私をどうする気なんです。いったいどこに連れて行く気なんですか?」
 二人の男達の内、拓哉と呼ばれていた男が小夜の後ろに廻り後手に縛り上げている小夜の浴衣の帯を解きながら優しいと言っていい声で言う。
「貴方を見つけてしまった僕が悪いのか? 見つかった貴方が悪いのか? 良いところですよ、少なくても僕にはね、さあ浴衣をなおしなさい、お嬢さん……」
 拓哉と呼ばれていた男が何とも言えない、哀しみ……そう、深い哀しみを持つ瞳を小夜に向けて言う。小夜はのろのろと浴衣をなおし帯を締め直す。
「私を……た、助けてくれるんですか?」
 小夜は男にすがるかのような眼差しを向けて聞く、その問いに男は沈黙で答える。
 そして草の上に落ちていた小夜の眼鏡を拾い上げると、ハンカチを取り出し綺麗に汚れを拭き取り、優しく小夜の顔に掛けてやる。そして自分を見上げる小夜の眼差しを避けるかのように夜の闇の中に目を黙って向けた。
 やがて闇の中にポツンと車のヘッドライトの黄色い光が浮かび、段々と近づいて来て男達と小夜の姿を浮かび上がらせつつ目の前に止まる、そして呆然としている小夜の前に先程の男が車から降りて来る。
「お待たせ、おう早く女を車に積んじまおうぜ、誰か来たらヤバイからな。」
 男はそう言うと小夜の髪を乱暴にわしづかみにし、無理やりに立たせて車の後部座席に放り込もうとする。
「いやっ、やめて! だ、誰か助け、んぁんぅぅー!」
 悲鳴を上げ、助けを求める声を上げ、抵抗する小夜の口に男がポケットに入れていた小夜の胸から切り取ったブラジャーが押し込まれる。それでも激しく抵抗する小夜の腹部に車を持って来た男の容赦のない蹴りが叩き込まれる。
「あぐうっ!」
 拓哉と呼ばれた男の顔がピクリッと微かに動き、そして小夜の腹を蹴り飛ばした男を見る、その瞳には何故か憎悪にも似た殺意が浮かびあがるが、それを見てる者は誰もいない……
 腹を押さえたまま意識を失いグッタリとした小夜を男達は、軽く担ぎ上げると車の後部座席に放り投げる様に乗せると、自分達も次々に車に乗り、車を荒々しく発進させた。
 車の紅いテールランプが闇の中に消え去っていく、そして男達が踏み荒らしいった草の上で小夜の髪を結んでいた藍色のリボンが、男達に連れ去られた主人を悼むかの様に風に揺れている、やがてそのリボンも主人の後を追うかのように暗い闇の中に消えていった。








         第 四 章 『 会話 』へ続く         『 夏祭りの夜 』に戻る





                          成人向け書庫へ戻る