彼女の初恋


 放課後の教室、夕焼けに染まった教室の中で、その少女は懸命にプリント作成をしている、窓から入ってくる夕日が少女の金色に輝く髪を輝かせ、作っているプリントを見つめる蒼い瞳は真剣で、一生懸命になっている事がわかる、なんでそんなに一生懸命にプリント作成などと言う退屈そうな仕事をしているのか?
 答えは単純で簡単な事である、それは少女が時折視線を動かして除き見る、同じ様にプリントを作成している、少女の担任教師のせいであった。
 そう少女は、目の前にいる担任教師を先生としては見ていなかったのだ、一人の男性として見つめている……少女は恋をしている、それは初めの恋であり、それ故に純粋な恋であった。
 元々プリント作成と言う作業も、憧れの先生の側に少しでも一緒にいたいと考えて、立候補したクラス委員長!
見事に当選(とは言え、対立候補は存在しなかったが…)して、当初の目論見どおりに先生と一緒の時を過ごす事が出来たのだが、とうの先生はその思いを全然判ってくれていないが、少々寂しい所である……
 それでも少女は、ルンルン気分でプリントをまとめ上げては、ホチキスで止め完成させていく、先生と一緒に居られるだけで充分に嬉しいのだから、実に乙女的な思考回路と言える。
 だが、楽しい時間でも、何時かは終わりを告げる、やがて用意されたプリントの全てがまとめ上げられて、作業は終わりを告げた。
「ごくろうさん、助かったよ」
 完成したプリントを一つにまとめながら先生が、少女に言葉をかける。
「いえ!私、クラス委員ですから、何時でも言ってください、何時でもお手伝いさせていただきますから!」
 必要以上に大きな声で返答をしてしまったのを自覚してしまう…
 お下げにしている金髪、広いおでこ、蒼い瞳、赤い縁の眼鏡、少しソバカスのある顔、そして透けるような白い肌、その全身を硬直させ、恥かしさで顔を真っ赤に染めながら、ついつい両手の指先を重ね合わせ、下から先生を見上げてしまう……そして恥かしさを自覚すれば、さらに恥ずかしさは増して、今度は先生の顔を見ることも出来なくなってしまう。
暫しの沈黙と言うか硬直の時間……少女はくるりと、後ろを向いて自分の机にへと向かってギクシャクと歩くと、机の上に置いてあった自分の鞄を取り、そのまま教室から出て行こうとした。
「あっ!リンダくん、ちょっと待ちなさい」
 教室から出て行こうとした少女の名前を呼び、担任教師が少女呼び止める。
「はひっ!」
 名前を呼ばれた事で、思わず上ずった声で返事をしてしまう…なんだろ?胸がドキドキしてしまう…




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