『 雄一 』


                                【 カレー 】


「ただいま〜…」
 足取りも重く、家にたどり着く…玄関先、靴も脱いでない状態の俺に向かって、お袋が丸めた新聞紙で、思いっきり俺の頭をどつく!
「なにすんだよ、おふくろ…!」
 頭を押さえながら文句を言う俺に向かってお袋が、さらに二激目を加えながら、罵るように言う。
「美緒ちゃんとの約束すっぽかしたでしょう…」
 心臓を鷲づかみにさらえた様な衝撃!確かに今日、美緒ねえちゃんと部活の帰りに待ち合わせをして一緒に帰る約束をしていた。
 しかし、急な先輩の命令によって(体育会系の部活では、先輩の命令は絶対なのは何処でも一緒だ…)用事を言いつけられ、約束の時間に間に合わなかった。
 しかも、携帯も紛失してしまい、遅れてしまうという事を連絡することも出来ない始末…
(美緒ねえちゃんの携帯番号は、携帯にメモリーしていた事もあり、どうしても思い出せず、連絡のとりようが無かったのだ…)
 大幅に遅れて、待ち合わせの場所に来たときには、待ち人すでに居ず…どう言分けをしようかと思案しながら、家路の道を足取り重く帰ってきたのである…
「なんで、お袋知ってるんだよ〜」
 俺の問い掛けにお袋は、あっさりと理由を言う…少し前に、美緒ねえちゃんが、俺が帰ってきているか尋ねて来てくれたとの事だ。
「ごめん、お袋、ちょっと出かけてくる」
 とにかく、早く美緒ねえちゃんに、約束をすっぽかした事を誤りに行かなければ…
「ほい、んじゃ御土産」
 出かけようとする俺に、お袋が鍋を差し出す…ぷ〜んと匂う美味しそうなカレーの匂い…
「御土産…て…」
「美緒ちゃんには話をしてるから、これをもっていって一緒に食べなさい、少しくらい遅くなってもいいし……美緒ちゃんさえ良ければ、泊まってもいいのよ〜」
 怪しい笑みを浮べながら、お袋が鍋を手渡してくる…
「泊まるって、お袋!」
「いいの、いいのよ美緒ちゃんのお母さんとの話し合いは、とっくの昔についているから、早く孫の顔が見たいのよ〜」
 追い出すように玄関から俺が放り出される俺、背後で閉まる玄関の音、ご丁寧に鍵までかけたようだ…
 俺は、カレーの入った鍋を持って、隣の美緒ねえちゃんの家に向かった…

 カレー鍋を玄関先において、チャイムを鳴らす…
「美緒ねえちゃん…おりますでしょうか…」
 恐る恐る、玄関モニターに声をかけるが…返事がない、もう一度チャイムを鳴らして、同じ事を繰り返すが…やはり、返答はなかった。
 ドアノブに手をかけると、鍵はかかっておらずに、ドアが開く…鍋を持って、玄関に入り込んで、もう一度大きな声で言う。
「美緒ねえちゃ〜ん!ごめんなさ〜い!」
 とにかく先に謝ろう…今度も、やはり返事が無い…靴を脱いで室内に入る、かって知ったる美緒ねえちゃんの家、小さな頃から何べんも来てるので、そのてん遠慮が無い、家に入って、乱雑な茶の間の風景を溜息交じりに見て、洗物が溜まった台所に鍋を置いく、そして思案をする…
家に鍵がかかっていない…でも美緒ねえちゃんはいない…そして考えた末に、俺は一つの結論を考えだした。


【 ここで選択肢を選んでください 】

1〜美緒ねえちゃんの事だ、二階の自分の部屋で眠り込んでいるんだろ…起こして、一緒にカレーを食うか

2〜買物でも出かけているのかもしれない、しばし待ってみよう

3〜あとで、また来るとしよう…

1・・・を選んだ人は〜『 光の中を! 』
2・・・を選んだ人は〜『 暮れ行く闇… 』
3・・・を選んだ人は〜『 闇は語らず… 』.

以上の中から選んで進んでんでください…